八戸港でのしらせ一般公開の紹介

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鮎川恵理(八戸工業大学工学部准教授)

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八戸港八太郎4号埠頭P岸壁から出港前のしらせ 左は三菱製紙八戸工場
 しらせ5003が国内巡行で八戸に入港したのは、震災のあった2011年夏以来、2度目。2017年9月2,3日に八戸での一般公開が行われました日本極地研究振興会の依頼で、八戸在住の私は丸2日間、グッズ販売のため船上で過ごしましたので、その時の様子を紹介いたします。  台風15号が太平洋を北上していたため、一般公開一日目の天候は曇り。午前中の来場者はあまり多くなく、グッズ販売もゆったりと行えました。しかし、台風によるうねりが入り、販売場所であるヘリ格納庫内から、陸地を見ると、ゆったりと船が揺れていたため、私は早くも船酔い。酔い止め服用となりました。正午からは、特別公開ということで一般来場者の入場はストップされ、未来の自衛官になる(かもしれない)高校生たちが、見学。午後になると、雨が降らないことに安心したのか家族連れが増え、ガチャ玉やカレンダーの売れ行きも好調となってきました。  夕方には八戸から乗船する元観測隊員や、極地研の板橋時代にお世話になった先生方とも再会できました。夜は、販売を手伝っていただいたしらせOBの高橋靖悦さん、八戸市出身の57次越冬隊のお二方、現しらせCPOの方々、八戸から乗船の59次の方など、30人弱の宴席で、観測隊・自衛隊の枠、次隊・時間の枠を超え、59次隊の出発までの時間を共有できたのは喜ばしい限りでした。  翌日の3日は風が強く、隣の製紙工場からの煙、チリが格納庫にも吹き込んでくるものの、晴れたため、多くの家族連れや自衛隊ファンなどの多くの人々が訪れました。しらせの岸壁に向かう道路は午後2時ころには600mもの渋滞ができ、入場にも長い列ができたほどでした。南極観測に縁のない知人の男性にも一般公開を紹介したところ、来場して下さり、しらせの大きさに大変感動されていました。その方の様子から、ひと目、しらせの大きさを見てもらい、簡単な説明があるだけで、一般の方の南極観測事業への関心は急に高まるということを実感しました。 特に大人には、税金がこの船や南極観測事業に使われている、という説明一つでも、我が事のように感じてもらえるようです。多くの子供連れもみられましたが、ガチャ玉つかみ取り以外には、子供向けのグッズや説明がなく、育児中の私としてはもう少し、子供向けのグッズや案内もあれば、子供連れの来場者にもより魅力的になるようにも感じました。ともあれ、観測隊OBとして、しらせが入港できる港町に住んでいる者だからこそできる貢献もあることを知るよい機会となりました。OBとして今回の販売に関わったことで、新しいしらせにも愛着がわき、翌朝の出港時には現在の調査フィールドから、なごり惜しくしらせを見送ることとなりました。
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八戸港出港後のしらせ 背景は八甲田山系
 しらせ乗員のみなさんには、販売場所の設営等で大変お世話になりました。また、42次隊以来のお付き合いのある元しらせ乗員の高橋靖悦さん(41、42、57次)には、丸二日間の販売にご協力いただきました。記して、感謝いたします。

鮎川 恵理(あゆかわ えり)プロフィール

八戸工業大学工学部バイオ環境工学科准教授。総合研究大学院大学博士課程の院生として第42次隊にオブザーバー参加。2004年より、八戸工業大学教員。専門は植物生態学。近年は奥入瀬渓流のコケ植物や八戸周辺の海岸植生に関する研究を行う。
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