福西 浩(公益財団法人 日本極地研究振興会 常務理事)
当財団の小・中学校向け「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」を2019年9月20日に多摩市立南鶴牧小学校で実施しました。講師は南極地域観測隊に7回参加した石沢賢二氏で、「南極・北極の環境とエネルギー」というタイトルで、以下の問題が取り上げました。
1.極地の今・・・領土、温暖化
2.南極への輸送
3.南極のエネルギー
4.南極大陸の探検
5.観測隊の生活と安全
アンケート調査
講演後に「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室アンケート」を実施していただきました。94人からアンケート結果が寄せられました。
アンケートの方法は5段階評価と自由記述(感想および南極・北極教室への要望)です。
5段階評価の結果
5段階評価(1~5の数字に〇をつけてください)
学年: | |
お話の内容に興味がもてましたか | 1-2-3-4-5 |
お話はわかりやすかったですか | 1-2-3-4-5 |
南極や北極に行ってみたいと思いましたか | 1-2-3-4-5 |
地球環境変動について理解が進みましたか | 1-2-3-4-5 |
自分が知らなかったことを学べましたか | 1-2-3-4-5 |
全体的に大変興味を示していただき好評でした。ただ、「南極や北極に行ってみたいと思いましたか?」という質問では、他の質問と大きく傾向が変わり、「すごく」が32%と全体の3分の1で、「すごく」と「かなり」を合わせても45%と半分以下でした。逆に、「あまり」と「少し」を合わせると18%あり、厳しい環境の南極・北極に挑戦したくない人がかなりいることがわかりました。
自由記の結果
いろいろな感想がありましたが、以下にいくつかを紹介します。
1.今日の授業で楽しく南極と北極について学べた。今日の授業の内容を家の人に教えてあげたい。南極・北極の発電の種類やホッキョクグマが減ってきていることを学べた。印象に残ったことは、ペンギンがおなかで滑る速さがすごく速いということです。
2.南極や北極を守るためには、地球温暖化への対策はさけて通れない道だということを改めて知りました。南極は恐ろしいときがあるけれども、とても美しい世界だと思いました。この教室で学んで自分も南極に行ってみたいと思いました。
3.南極や北極でも太陽光発電や風力発電を使用していることを初めて知って、なんだか親近感がわきました。図やイラストや動画がたくさん用意されていて分かりやすかったです。他にも熱を吸収する建物のパネルや様々な環境を守る設備が整えられていてすごいと思いました。
4.話の内容が面白く楽しかったです。南極の発電方法が印象に残りました。太陽の直接の光と雪の反射で来る光の2つの光で太陽光発電をしていてすごいなと思いました。
5.お話を聞いて、真っ先に、「南極・北極に行ってみたいな」と思いました。でも氷の割れ目の穴に落ちたりするのは怖いなと思います。フジドーム基地でとても昔の氷を取ることができることを初めて知りました。さわってみたいです。また、南極の地下に、石炭や天然ガスがあることに驚きました。でもそれらの資源は残しておくべきだと思いました。日本からどうやって南極に行くのか、もっと知りたいです。「しらせ」のことももっと教えてほしいです。
6.南極や北極のことについて様々なことを教えてくださりありがとうございました。細かい内容まで教えてくださったので、理解できると共に興味がわいてきて、あきないしおもしろく、本当に良いお話でした。南極や北極は、あまり気にしていなかった存在であったために知らないことが多く、良い勉強になりました。このお話を南鶴牧小学校だけに話すのは本当にもったいないと思うので、他のたくさんの学校でも話してください。多分、他の学校の生徒も南極・北極についてあまり知らないので、たくさん説明していただければ、南極・北極が身近になると思います。応援しています。
7.南極と北極のちがいや南極の大きさなどあまり知らなかったので、ていねいに教えてもらい、とてもおもしろくわかりやすかったです。また地球温暖化などの地球環境変動は南極・北極と深く関係していることについてとても興味がわきました。南極でもネットワークがつながることや南極の動物など、南極に行ったことがある人ならではの知識がとてもおもしろかったです。また南極での発電方法が日本と同じで、今習っている「ECOエネルギー」の風力・太陽光発電もあること、ゴミの管理も厳格で南極の環境がすごくきれいに使われていることがわかりました。石沢先生の教え方が分かりやすく、すごくよかったです。南極に行くための砕氷船にすいてどんなにすごいのかもっと知りたくなりました。
8.普通に考えると北の方が寒いというイメージがあるが、南極と北極では南極の方が圧倒的に寒いことを知りとても驚きました。北極の氷がすべてとけてしまったら東京などは沈んでしまうということは大変なことだと思います。私はそのときはもう生きていませんが、将来の街がとても心配になりました。とくに東京のように人口が多いところが沈んでしまったら・・・そう考えたらとてもこわくなりました。南極や北極に行くときは何千回も氷に体当たりしながら砕氷船が進んでいくと知り、砕氷船は丈夫でなければいけないと思いました。普通の船では多分10数回で傷ついたり、あるいはこわれてしまったりしそうなので、船の強度を今後調べようと思います。配布されました資料に、ペンギンやホッキョクグマにカメラをつけているものがあり、最初に見たときはかわいそう・・・と思ったが、それも生態を調べ、生物のためになると知り、安心しました。