2020年 年頭のご挨拶
令和と年号の改まりました最初の新年を迎えるに当り、本年が世界の格段の平安と発展の日々を過ごせますよう祈念しつつ、ご挨拶を申し上げます。
一昨年来、それまでの天候の推移が地球規模で変わったことが、どなたでもが身に染みて感じられるようになり、昨年は、それが一層激しくなり、殊に我が国は各地が大きな気象災害を受けました。
最近の研究から、南極・北極地域では温暖化の進行が中低緯度地域に比べて格段に速く、この地域の海氷や氷床の融解が地球全体の気候変動に大きな影響を及ぼすことが分かってきました。極地は地球環境変動を知る敏感なセンサーの役割を担っており、この地域での調査・観測・研究が地球の未来を考える上で必要不可欠になってきました。
極地はまた地球上で最も原生的な自然が残る場所としてさまざまな人々を惹きつけてきましたが、最近では小・中・高校の教員にもチャレンジの場となっています。そのきっかけを作ったのは当財団が国立極地研究所との共催で実施しています「教員南極派遣プログラム」です。毎年、このプログラムに応募し選考された 2 名の教員が南極地域観測隊同行者として昭和基地に行き、南極授業を実施しています。帰国後は自らの体験を科学教育やキャリア教育に生かし、大きな教育効果を生み出しています。
当財団はこれまでの実績をベースにして、2018 年度から新たに小・中学生向けの「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」事業を始めました。この事業は公益財団法人JKAの 補助事業「青少年の健やかな成長を育む活動」から助成を受けています。
さらに2019年度は、文部科学省ユネスコ活動費補助金事業「SDGs達成の担い手育成(ESD)推進事業」に採択され、「南極・北極から地球の未来を考えるESD副読本と学習プログラムの開発」事業を開始しました。
SDGs(持続可能な開発目標)達成の担い手には、地球環境の未来像を予測して未解明の問題に果敢に挑戦する行動力が要求されます。南極・北極域はSDGs達成の担い手を育てる教材として最適な場所です。
大きな可能性を秘めた南極・北極での研究・教育活動を支援し、その成果を社会に普及する当財団の活動のために皆様の一層のご鞭撻、ご支援をお願い申し上げます。
2020年1月1日
公益財団法人日本極地研究振興会
代表理事 吉田 栄夫