謹んで新春のお慶びを申し上げます。
ちょうど2年前に始まった新型コロナウイルス感染症の世界的流行はいまだ収束せず、私たちの日常生活は大きな制約を受け、様々な困難に直面しています。でもmRNAワクチンなど各種の革新的な新型コロナワクチンが短期間に開発され、コロナ感染症収束への明るい兆しが見えてきました。またウイズコロナ時代に対応して生活様式の変化や働き方の改革も進んでいます。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進み、オンライン会議やオンライン授業が日常的になりました。当財団もICT技術を積極的に活用して事業を推進しています。
当財団はまた氷の融解によって温暖化が先行する南極・北極地域をSDGs(持続可能な開発目標)の担い手を育成するための最適な教材ととらえ、小中高校生のための各種のSDGs教材を開発し、極地の専門家が外部講師となって、それらの教材を用いた授業を実施してきました。昨年は特にオンライン授業に適した小中学生向けのデジタル教材の開発に力を入れました。このデジタル教材はGoogleアースを利用しており、地理情報に様々な情報を加えることによってグローバルな環境変動の様子を自分自身で探求していくことができます。この教材開発をさらに発展させることによって小中高校生のSDGs教育に取り組んでいきます。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは持続可能な社会を建設することがいかに困難な仕事であるかを教えてくれましたが、これからも世界は予期せぬ危機に次々と襲われるでしょう。こうした危機を乗り越えるためには、予期せぬ課題に果敢に挑戦する行動力のある人材の育成が強く求められます。極地の厳しい自然環境下で未知の課題に挑戦した経験を持つ南極観測隊員や極地冒険家はみな知的好奇心とチームワークの大切さを語ります。こうした経験をSDGsの担い手育成に積極的に活用する取り組みをさらに発展させていきます。
当財団は、南極・北極地域を活動対象とした唯一の公益法人として、「南極・北極から地球の未来を考える」をミッションステートメントとして、南極・北極地域での研究・教育活動を支援し、その成果を社会に普及・啓発する活動を続けていますが、本年も皆様の一層のご鞭撻、ご支援をお願い申し上げます。
2022年1月1日
公益財団法人 日本極地研究振興会
代表理事 福西 浩