セール・ロンダーネ山地 地質調査チーム 写真日記

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赤田幸久(第61次南極地域観測隊 夏隊 野外観測支援)

セール・ロンダーネ山地(以下「セルロン」と省略)・・・ 何度訪れても本当に素晴らしい場所です。

地学の研究者の方々にとっても、地球上で数少ない貴重な調査エリアとのことです。

この地では、26次隊で「あすか基地」が開設されてから32次隊まで、様々な観測・設営活動が行われてきました(28次~32次隊は越冬)。大量の積雪などにより「あすか基地」は1992年1月に閉鎖されましたが、その後 航空機によるアクセスが可能となり、49次隊(2007年)よりベルギー基地(Princess Elizabeth Antarctica)を拠点に、キャンプ生活を中心とした野外調査が再開され、50次・51次・53次・54次・55次隊が地質・地形・測地・隕石などの観測活動を展開しています。

61次隊では地質調査チーム、生物調査チーム、内陸輸送チームが観測・設営活動を実施しました。 ここでは、地質調査チームの野外活動の様子を 私の日記をもとに写真でご紹介致します。

【61次隊 セルロン地質調査チーム 行動概要】

メンバー河上(京都大学/リーダー)、
足立(九州大学/サブリーダー)、
宇野(東北大学)、
東野(岡山理科大学)、
赤田(山岳ガイド/野外観測支援)
出 国 期 間 2019年11月8日(出国)~ 2020年1月17日(帰国)
南極滞在期間2019年11月12日 ~ 2020年1月15日(65日間)
野外調査期間2019年11月18日 ~ 2020年1月4日(48日間)
スノーモービルでの総走行距離約1,500km

11月12日 ケープタウン発 → 南極・ロシア基地経由 ~ ベルギー基地到着

 ケープタウンから大型輸送機(イリューシン)に搭乗。約6時間のフライトでロシア基地(ノボザラレフスカヤ基地)の滑走路へ着陸。約2時間で物資を積み替え、小型機(バスラーターボ)に搭乗。そして、約2時間のフライトでベルギー基地(プリンセスエリザベス基地)に到着! 極めて順調!!

写真:イリューシンから南極に降り立った地質調査メンバー。 気温:-9℃ 風速:5m/s 低い地吹雪

写真:ベルギー基地の滑走路では、今回も基地スタッフが笑顔で迎えてくれた。サンキューベリマッチ!

11月13 ~ 15日 物資整理、スノーモービルほかメンテナンス、各種訓練

  南極入り翌日から物資整理。ベルギー基地のコンテナにデポしてある日本隊の物資もすべて点検。スノーモービルや橇のメンテナンスを終えたら訓練開始。雪上・裸氷・モレーンの歩行から、スノーモービル走行、クレバスレキューなど短期集中で行った。本格的なフィールドワークに向けて首尾は上々。

写真:橇を点検・修理する宇野隊員。メンバー5人が分担して、多くの作業をこなしていきます。

写真:スノードリフトの急斜面をスノーモービルで下る東野隊員。
裸氷の走行や、急な雪面でのトラバース・Uターンなど 実践的な訓練を行います。

写真:スノーモービルの走行訓練をしつつ、リーダー(河上隊員)の解説で山域の概念を把握していきます。

写真:1日の訓練を終えベルギー基地へ。背景はビキングヘグダの山塊。

11月18 ~ 25日 ベルギー基地を拠点に調査活動スタート!

いよいよ調査活動開始!
先ずはスノーモービルの慣熟訓練を兼ねてベルギー基地近傍のエリアから。
18日はウートスタイネン、19日はテルテへ。天気が良くてキモチ―!!
20日、21日はケテレルス氷河上流域、22日はデュボア氷河左岸域、25日はグンネスタ氷河下流域を横断しスマルエッガ、ドッテンへ。こちらも好天に恵まれ順調に調査が進んだ。

写真:11月18日 ウートスタイネン東壁を観察・記録する足立隊員。青色が映えます。

写真:11月19日 テルテ山頂域で岩石試料採取、断面を観察している様子。

写真:11月20日 急峻なガレ場をサクサク登って調査を始める河上・足立隊員。早い!さすがです!

写真:11月19日 調査を終えてケテレルス氷河の裸氷帯を下る。左後方の鋭鋒は「カニの爪」。

11月26日 リアルクレバスでレスキュー訓練

 最終訓練。ベルギー基地の山岳ガイドメンバーと合同で、本物のクレバスでのロープレスキュー訓練。
自分自身でクレバス内に降りてみると、その寒さやクレバス内部構造がよく分かります。さらに、地上にいる隊員との意思疎通の難しさなどを実感し、「クレバスには絶対に落ちないようにしよう!」と自分に誓う。

写真:クレバス内部を確認する宇野隊員。このヒドンクレバスは最大幅 約3m。

写真(左):懸垂下降でクレバス内に降りる足立隊員。
写真(右):クレバス内の状況を中継しつつ、ロープレスキュー(引き上げ)の指揮をとる河上隊員。

写真:クレバス内の不安定なテラスから落口を見る。テラスの下にはクレバスの暗闇が深く続いている。

図:3倍力システムで負傷者の引き上げを行う東野・宇野隊員。
反復訓練により、メンバー全員が1人でも引き上げシステムを構築できるように仕上がっています。

11月27日 キャンプ生活スタート! BC1設営

 いよいよキャンプ生活のスタート。ひとつ目のベースキャンプ(BC1)はブラットニーパネ・人さし指尾根の西側。スノーモービルでベルギー基地から東北東へ50kmほど移動し、早速キャンプの設営にかかる。この場所は51次隊でも利用したキャンプサイト。陽当り良好、風も弱くて水場も近い。快適そうだ。

写真:スノーモービルに橇を連結し、各自が150kg程度の物資を牽引する。休憩中も調査地の観察。

写真:先ずはメステント(食堂用大型テント)の設営から。
写真:続いて個人用テント、自分のテントは自分で張る。トイレ用テントもね。

写真:61次隊の旗を設置してベースキャンプの完成!

11月29日 ~ 12月9日 BC1を拠点にブラットニーパネ周辺の地質調査

 ブラットニーパネ山塊を衛星写真で見ると、「人の手」の形に似ていることが分かります。手首山をはじめ、各尾根の名前は日本南極地域観測隊の先達が名付けたものです。61次セルロン地質チームは ベースキャンプ(BC1)を拠点に、このエリアで11日間の精力的な地質調査を行いました。

図:ブラットニーパネの衛星写真(Google Earth)

写真:11月29日 小指尾根(東面)にて試料採取する東野隊員。

写真:11月30日 中指尾根(西面)にて試料採取する河上隊員。

写真:12月1日 人さし指尾根(東面)にて試料採取する宇野隊員。

写真(左):12月3日 薬指尾根(東)にて露頭を観察する足立隊員。
写真(右):同上 浅いルンゼには約30年前に打ち込まれたハーケンが残っていました。
写真:12月4日 人さし指尾根(西面)(ほぼ手首山の頂上台地直下)に向かう。
途中には裸氷の窪地や小規模のクレバス帯もあり、慎重に進みました。
写真:12月4日 調査地へ向けて登山開始。強風で手首山の頂上台地からは雪煙が舞っています。
写真:12月4日 標高1,700m付近での調査風景。時折、山頂から旋風が吹き降りてきました。
写真(左):12月4日 標高1,835m付近での調査風景。
写真(右):同上 調査を終え下山準備。岩石試料の詰まったザックの重量は50kgオーバー!?

写真:同上 重いザックを背負って、一歩一歩確実に下りました。
この日は行動中に、あすか基地で作業中の設営チームと無線交信することが出来ました。手首山からは直線距離で45kmほど離れているのですが、CRハンディ無線機の感度が良くて驚きました。

写真:12月8日 この日は暖かく、朝の気温はなんと!「+1℃」を記録しました。
調査を終えてキャンプに戻ると、周辺の裸氷帯が融水に覆われていてビックリ。飲料水の採取が楽になるのはありがたいのですが、池になったらどうしようと心配です。この日は豊富な融水を利用して「第1回洗髪大会」を開催しました。

写真:12月9日 BC1を拠点とする最終調査日。今日はアウストカンパネ北部の調査です。(背景は手首山)
巨大クレバス帯を避けるためルートは長くなり、ニーペ氷河から吹く強風、サスツルギの発達したラフな雪面、更には広大な裸氷帯と、スノーモービルの走行条件も厳しく平均速度は10km/h程度。結局、この日の走行距離は約65kmでしたが、往復の移動だけで約5時間かかりました。

12月10 ~ 12日 BC1撤収準備 ~ キャンプ移動 ~ BC2設営

慣れ親しんだBC1ともお別れ。次はメーフィエル西部エリアにベースキャンプを移動します。

写真:12月11日 BC1撤収完了、いざ出発!
緊急避難用のコンテナとドラム缶燃料・岩石試料などは、ベルギー基地の雪上車で輸送して頂きました。
移動中にスノーモービルのエンジントラブルが頻発したこともあり、BC2予定地に着いたのは17:00過ぎ。全ての設営作業を終え、全員が食堂テントに集合したのは22:00を過ぎていました。

写真:12月12日 BC2のようす。ここメーフィエルも素晴らしい場所。

写真:12月12日 キャンプ整備、飲料水確保、スノモ整備などを終えて一息。 読書やデータ整理です。

12月13 ~ 25日 BC2を拠点に地質調査!!

 BC2を拠点にメーフィエル各所、メーニパ各所、ピルテン、コムサ、クロクベッゲン、バークマンズカンペン、ルンケリッゲンなど、13日間にわたり精力的に地質調査を行いました。

図:メーフィエル周辺の衛星写真(Google Earth)

写真:12月13日 初日の調査はメーニパ。ここはいつも風が強くて過酷な環境だが、展望が素晴らしい!
写真:メーニパからバウターエン方面を望む。何度見ても美しい「針峰ヘルナ」は高差約600mの大岩壁。
写真:12月14日 この日はメーフィエル東部の調査。低い地吹雪の中、クレバスを回避しながら露岩にアプローチ。強風でスノモが飛ばされないように、アイススクリューを使ってアンカーを取りました。
写真(左):15m/sを超える強風のため、露岩まではアイゼン・ピッケルを装着し耐風姿勢を取りながら進む。
写真(右):岩石カッターで試料採取を行う宇野隊員。ここは宇野隊員の重点調査地です。

写真:12月14日 1日の調査が終わる頃、ようやく太陽が出てきました。
メーフィエル氷河の広大な裸氷帯が美しく輝いていました。

写真(左):12月15日 露頭を観察する河上・足立隊員。
地吹雪で視程が悪いため、スノモ行動は中止しベースキャンプ近傍で調査することにしました。 写真(右):ベースキャンプに戻る。地吹雪が止まないので、調査は午前中で切り上げました。
午後、ゆとりができたので「第2回洗髪大会」を開催!!

写真:12月15日 地吹雪のベースキャンプ

写真:12月16日 今日の調査はメーフィエル中央エリアに。チーム内では「第3モレーン」と呼んだ。
写真(左):第3モレーンエリアの露頭へアプローチ。大きな岩壁に囲まれた要塞のような場所でした。
写真(右):モレーンと裸氷の境界付近には、絶妙のバランスで立つ「迷子石」もチラホラ。
写真:岩壁基部の各所で、それぞれが観察・試料採取を行いました。

写真:12月17日 吹雪のベースキャンプ。今日は停滞日としました。
悪天による停滞は12月5日以来2回目です。キャンプ期間中に1週間程度の停滞は覚悟していましたが、結果的に停滞日は2日間だけでした。メンバーの「晴れパワー」に感謝。

写真:同上 氷上カーリング大会!
風が弱まってきたので、カーリング大会を開催。こういう楽しみも大切です。

写真(左):12月18日 今日の調査地ピルテン南峰。
写真(右):取付き直前にヒドンクレバスが確認されたため、固定ロープを設置しました。
写真(左):クレバスに注意しながら、露岩と着雪の接線を登る。
写真(右):ピルテン最南端の岬には、26次隊が設置した基準点がちゃんと残っていました。
写真:ピルテン南峰での調査風景

写真:12月18日 ピルテンのごく近傍に存在する巨大なクレバス。

写真:12月19日 メーニパ北部エリアへ。最初の露頭での調査風景。気持ちの良い場所でした。

12月19日 メーニパ北部の露頭を調査中の足立隊員。この場所は足立隊員の重点調査地でもあります。

写真(左):ハンマーで試料採取中の足立隊員。
写真(右):露頭の走向・傾斜を記録中の東野隊員。

写真:12月20日 メーニパ北部調査2日目。
過去のルート情報のないエリアに入りました。低い地吹雪の中、慎重に進みます。

写真:同上 最初の露頭での調査風景。
写真:同上 2つ目の露頭での調査風景。

写真:12月21日 今日は憧れの山「コムサ」へ!! ベースキャンプから片道約27km。

写真(左):最大幅1.5m程の雁行状クレバスを避けながら、コムス氷河を進む。
写真(右):対岸には、ビンスネス山の前衛峰ともいうべき岩峰「トールネ」が迎えてくれた。

写真:コムサの北側でコムス氷河とサール氷河が合流し、広大な氷河エリア「グリットレフォンナ」となる。

写真:12月21日 モレーン帯から見上げたコムサ。美しい!!
コムサ山頂部の標高は2,419m。モレーン帯からの高度差は約1,000mあります。

写真:12月22日 クロクベッゲンの岩峰。この山もシャープなリッジが美しい!
今日はイエル氷河の右岸(クロクベッゲン)と左岸(ルンケリッゲン)で調査を展開。

写真:12月22日 クロクベッゲンの露頭での調査風景。
写真(左):同上 イエル氷河の上流には、デュフェック山と美しいU字谷が見える。
写真(右):同上 対岸には、ルンケリッゲンの盟主というべき名峰「ベルナール峰/2,730m」がチラリ。
写真(左):イエル氷河を横断しルンケリッゲンへ。小規模なクレバス帯では、クレバスを直交して横断。
写真(右):ルンケリッゲンの調査地に到着。
写真:同上 ルンケリッゲンでの調査風景。

写真:同上 ルンケリッゲンの深く切れ込んだ谷から夕日を眺める。右側の岩峰が「天指し峰」。

写真:12月23日 メーフィエル中央エリア(通称:第2モレーン)で、終日雪が舞う中での調査。

写真:同上 このエリアにも沢山のユキドリが営巣していました。

写真:同上 調査を終え急峻なガレ場を下降する東野隊員。セルロンで女性隊員が活動するのは初めての事。
このひと月で、東野隊員の野外行動スキルは飛躍的に向上しました!! 今後の活躍が楽しみです。

写真:12月24日 我々にクリスマス休みはありません! バークマンズカンペンの露岩取付きにて。
残された日数を大切に、今日はバークマンズカンペンとメーフィエル東部エリアの2ヵ所で調査です。

写真:メーフィエル東部で調査中の宇野隊員。右は生物チームのための土壌サンプリングです。
写真(左):同上 岩石カッターでの試料採取がうまくいき、喜ぶ私。
写真(右):19:30調査地発。帰路に見た夕日が美しかったです。今日もよく頑張りました。
写真:12月25日 いよいよBC2での調査最終日! 気温も高く、風も弱い。ビューティフル・デイ!!
イエル氷河を横断し、調査地ルンケリッゲンへ向かう。右の写真は「天指し峰」。

写真:ウィンドスクープをかわしながら、露岩へアプローチする。背景はイエル氷河とクロクベッゲン。

写真(左):露岩取付きにヒドンクレバスが! やはり最後まで気を抜けません。
写真(右):クレバス内で成長した氷の結晶。
写真:最終日も精力的な調査が行われました。

写真:キャンプに戻ったら・・・ 今日の日射と気温で雪解けが進み、キャンプ横の窪地が池になっていた!

急いで物資や岩石試料を退避・整理しセーフ。

写真:12月25日 BC2でのすべての調査と試料整理を終え一息。その背中から漂う充実感。

12月26日 ベースキャンプ撤収 ~ ベルギー基地へ帰還

 いよいよベルギー基地へ戻る日です。1ヶ月なんて、あっという間でした。
基地に帰ったらシャワーを浴びたり、生野菜が食べられるのが楽しみですが、キャンプ生活が終わりかと思うと寂しくもあり複雑な心境です。

写真(左):ベルギー基地スタッフのご協力で、復路でも雪上車による輸送を行いました。
写真(右):曇天で雪面が見えない中、約2時間35分でベルギー基地へ。飛ばし過ぎました(反省)。

12月29日 ~ 2020年1月4日 ベルギー基地を拠点に野外調査!

 12月27 ~ 28日は物資整理と休養にあてました。12月29日から野外調査の最終フェーズです。
スマルエッガ、パーレバンデ、タンガーレン、エリス氷河周辺、ゆきどり砦山など、正月返上での調査となりましたが、連日好天に恵まれて、とても気持ちの良い野外行動が出来ました。

写真(左):12月29日 スマルエッガの調査地。
写真(右):同上 地質調査の最終フェーズに同行した高村隊員。高村隊員は1月初旬に到着する生物調査チームの野外観測支援担当として、2月初旬までセルロンで活動する予定です。
写真:同上 首尾よく試料採取ができ、ご満悦の宇野隊員・東野隊員。
写真(左):12月30日 今日の調査地パーレバンデ南部の露岩
写真(右):同上 駐車したスノーモービルの車列
写真(左):同上 稜線を調査する足立隊員
写真(右):同上 稜線にはきれいな六角形の鉱物がみられた。アパタイトらしい。

写真:何やら黒い石が落ちていたので拾い上げてみると、大きなガーネットの結晶だった。

写真:12月31日 調査地タンガーレン西部へ向かう。背景はピングビーナネの岩峰群。

写真(左):調査中の河上隊員
写真(右):調査中の足立隊員
写真(左):調査を終えてガッツポーズの足立・宇野隊員
写真(右):調査を終えて一息つく東野隊員
写真:同上 緩やかな尾根だが、下山時に西側の着雪帯は要注意! ベルクシュルントが多数点在している。

写真:12月31日 夕刻、日本・ベルギー合同輸送チームがナンセン氷原から帰還しました。
61次隊設営(内陸輸送)チームは永木隊員・蓜島隊員。お疲れさまでした!!

写真:大晦日のウートスタイネン夕景。遠方の山はビキングヘグダ。

写真:2020年1月1日 新年にふさわしいビューティフル・デイ!! 今日はタンガーレンの東部へ。
写真:同上 タンガーレンでの調査風景。この露岩域には色鮮やかな地衣類がみられた。

写真:同上 露岩上部からの眺め。モレーンが描く弧が美しい。左手の岩峰群はピングビーナネ。

写真(左):1月2日 今日の調査地スマルエッガ南部へ向かう。
写真(右):スマルエッガにも所々に深いウィンドスクープがある。これは深さ20mくらい。
写真:1月3日 今日の調査地はエリス氷河左岸域。ブレイクロック山の山麓。
写真(左):尾根上のピークには磁鉄鉱(マグネタイト)がゴロゴロしていた。
写真(右):調査を終えてエリス氷河を下る。背景はワルヌム山。

写真:同上 ワルヌム山。中央やや右に1本の細いルンゼがあり、山頂へ延びている。登ってみたい!!

写真:1月4日 いよいよ最終調査日!! 「ゆきどり砦山」へ。

写真:ゆきどり砦山の北西の尾根にて調査開始。尾根の先端部には26次隊設置の基準点が残っています。

写真:飛翔するユキドリ。「ゆきどり砦山」の名前の通り、多くのユキドリが営巣しています。

写真:色鮮やかな地衣類。ユキドリの生息数が多いからだろうか、沢山の地衣類がみられました。 このあとの生物調査チームにとっても良い調査地になるでしょう。
写真:調査風景。
61次地質チームにとって最後の調査日を「大切に、味わっている」という印象でした。 11月18日から48日間、野外調査がうまくいって何よりです。お疲れさまでした!!

図:61次地質調査チームのトラックログ。スノーモービルの総走行距離は約1,500kmになりました。

1月5 ~ 9日 休養・物資整理・航空機待ち

 無事に全ての野外調査を終えてホッと一息。1月5日は休養日。 6日からは帰国物資・デポ物資の整理と記録、梱包作業です。

写真:1月5日 休日の朝。ベルギー基地の食堂でゆっくり朝食を楽しみます。
我々がお世話になったベルギー基地の別館エリアをチラッとご紹介致します。
写真(左):造水用の融雪槽。以前は屋外にあったのですが、現在は屋内に設置されています。
写真(右):トレーニングジム。ボルダリング壁もありました。
写真(左): 登山用品保管室。きちんと整理されています。
写真(右):木工室、結構広いです。このほか機械加工や溶接作業ができる部屋もありました。
写真(左):電動工具・コーキング剤置き場。ここも整理が行き届いています。素晴らしい!! < br /> 写真(右):トイレ。「小」はドラム缶につながっています。「大」はラップ式トイレ、日本の製品です。
写真:1月7日 デポ物資整理後のコンテナのようす。
次に来る日本隊にとって正確なデポ物資情報は非常に重要ですから、細かくチェックし記録に残します。
また、古い食料の仕分けと持ち帰り梱包なども行いました。

1月10 ~ 14日 ベルギー基地発 ~ ノボザラレフフカヤ基地で待機

写真:1月10日 18:50バスラーターボ到着。
当初予定より2日遅れでしだが、同日中にノボザラレフフカヤ基地滑走路へ移動できました。
写真:1月11日 ノボザラレフフカヤ基地滑走路の宿泊コンテナ。右はここの番人?オオトウゾクカモメ。
結局、悪天や滑走路コンディションの影響で、14日までここで待機となりました。
写真:ノボザラレフフカヤ基地滑走路の食堂。飛行機を待つ各国の人たちでにぎやかです。
写真:同上 ある日の食事。ここのロシア料理は美味いです!

写真:1月14日 ついに大陸間フライトの機体が到着。ボーイング757です。
地質チームと入れ替えで、61次生物チーム2名、極地研宙空チーム2名が南極入りしました!

写真(左):1月15日 4:30起床、5:10ベルギー基地のスタッフたちと共に搭乗。いよいよです!
写真(右):往路とは真逆で超ゆったり。くつろぐ蓜島隊員。
写真(左):もちろん、南極のフライトにも搭乗券があります。
写真(右):機内食のチキンカレー。まあまあの味。

写真:1月15日 ケープタウン上空から見る市街地とテーブルマウンテン。美しい街です。

現地時間の昼過ぎにケープタウンに到着。2~3日ビーチでゆっくりしたいところですが、そうはいきません。
翌16日の午前中には帰国の途につきます。

ケープタウンからドバイまで約9時間のフライト。1時間ほどでトランジットし再び機中へ。
ドバイから成田まで約9時間。 1月17日 17:00成田着。長時間フライトは疲れます。
帰国後の事務手続きを済ませて18:20現地解散。 ホント、お疲れさまでした!
私は夜行バスで松本へ。 1月18日 6:00帰宅。南極の野外活動より復路の移動が大変でした。

この記事を書き始めた時は、もっと短く仕上がる予定でしたが・・・
どうも収拾がつかなくなり、やたらと長い原稿になってしまいました。
最後までお読みいただいた方、ホントにお疲れさまでした。

赤田幸久(あかだ ゆきひさ)プロフィール

1967年生まれ。信州・安曇野在住の山岳ガイド。北アルプス 槍・穂高連峰を中心にガイド業を営む傍ら、北アルプス南部地区遭対協の活動、講習会講師や検定員、山小屋の設営支援、登山道整備などに従事している。南極観測には49次(越冬)、53次(夏)、54次(夏)、57次(夏)、59次(越冬)、61次(夏)に参加し、昭和基地沿岸部をはじめ、セールロンダーネ山地、ナンセン氷原、ドームふじ、中央ドロンイングモードランドなどで長期の野外観測を支援した。

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