白石和行(国立極地研究所名誉教授)
日本極地研究振興会では、公益財団法人JKAの2019年度補助事業として採択された「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」を開催しているが、私は町田市の桜美林中学校においてその講師を務める機会を得た。講義は2日間にわたって3回行い、延べ210名余りの中学1年生のほか、多くの先生方も聞いてくださった。タイトルに「南極・北極」とあるが、私は長年、もっぱら南極の仕事ばかりしてきたので南極中心にならざるを得ない。それでもなるべく北極と比較しつつ話を進めた。
私の専門は地質、岩石であり、南極大陸の形成を研究してきたので、地球の歴史46億年の中での近年の人類紀における地球環境変動という視点で話を構成した。隕石や25億年前の岩石に実際に触れてもらい、時間軸の長さを感じてもらおうと思ったが、話の合間に見せた皇帝ペンギンの動画にはかなわなかったようだ。
あらかじめテキスト「南極・北極から学ぶ地球環境変動」が配布されており、生徒たちは興味をそそられていたようで熱心に聞いてくれた。地球環境や極地、更には地球科学全般への関心が広がるきっかけになってくれれば幸いである。
この講義をお世話してくださった同校の西克幸先生にお礼申し上げる。
桜美林中学校での南極・北極教室の様子
白石和行(しらいし かずゆき)プロフィール国立極地研究所及び総合研究大学院大学名誉教授、前国立極地研究所長1948年神奈川県生まれ。野外での地質調査に基づいて大陸の形成発達史の研究に従事。南極の唱和基地周辺のほか、米国、ドイツ等の外国基地やスリランカ、南アフリカなどでも調査研究を行ってきた。 |