【歴史編】南極から考える地球の未来

南極はどうやってできたの?みんなで平和に利用するには?

「南極」というと何を思いうかべるでしょうか。寒さ? 雪と氷の大地?
南極は地球の歴史れきしの中で、ずっと雪と氷の大陸だったのでしょうか?

ゴンドワナ大陸の一部だった南極大陸

地球が生まれてから46おく年、誕生たんじょう間もない地球に海ができ、その中から陸地が生まれました。 南極大陸には39億年前の岩石にふくまれていた鉱物こうぶつが見つかるところがある一方で、現在げんざいも火山の活動があり、 よう岩がふき出しているところもあります。 南極大陸は今から約1億8000万年前までは、ゴンドワナ大陸と呼ばれる、とても大きな大陸の一部でした。 その後、ゴンドワナ大陸がれて(図1)大陸間に海が広がり、約4000万年前に南極点をほぼ中心とした大陸となりました。 そして、周囲の海から運ばれたしめった空気は寒冷な地域である南極大陸に雪をらせ、それが長期にわたって続いた結果、雪から変化した氷が南極大陸をあつく おおうこと(氷床ひょうしょう)になったのです。

図1:分れつを始めたゴンドワナ大陸(1億2600万年前)( Gondwana - Wikipedia)


ゴンドワナ大陸のときには温暖おんだんな時期もあり、さまざまな植物や動物が生きていました。 今でも、南極からそうした化石が発見されています。その中には恐竜きょうりゅうもあります。


南極大陸の発見

南極大陸が発見されたのは、約200年前のことです。それから100年あまりの間に、南極大陸の各地を発見した国がそれぞれの土地を領土りょうどとし、さらに 近づくことが難しい場所でもある南極大陸の研究はなかなか進みませんでした。そこで約60年前(1957~1958年)、「国さい地球観測年」に、 南極をだれでも自由に研究できる地域にしようという提案ていあんがあり、 「南極条約じょうやくが誕生しました。

南極条約のおかげで、その後の南極での科学研究は進展しました。なにしろ、南極のどこにでも研究のためであれば自由に行くことができるのです。 北極地域では北極点付近の公海をのぞいて、すべての地域はどこかの国の領土ですから、自由に出入りすることはできません。


【白石 和行(しらいしかずゆき)・国立極地研究所 名誉教授】

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