北極は、南極と同じ「極域」です。南極とはどのように違うのか知っていますか?
場所は?気温は?氷床の高さは?・・・どのように違うのでしょうか?
北極の特徴を知り、北極がどのような役割をしているのか探ってみましょう!
大陸が中心にあって周りを海が取り囲んでいる南極に対し、北極は海が中心にあって周りを陸地が取り囲んでいます。(図1) 南極大陸の上には厚い氷床があり標高が高いのに対し、北極の真ん中は海なので数mと高くはありません。 標高の高い南極に比くらべ寒さが厳しくなりにくいのです。さらに海氷の下には常に大西洋からの温かい水が流れ込み、北極全体を温めます。 同じ極域とはいうものの、北極の寒さは南極ほどではないのです。
北極の海が凍っているというと、びっしり氷で固かたまっているように思われるかもしれませんが、海流に流され北極海の氷はほとんどが流氷になっています。 北極点からシベリア側は北極横断海流という流れにのって、速い速度で氷は 大西洋に流れ出しています。 北極上空の大気は冷やされ気圧が下がり、ジェット気流の大きなうず(極渦)をつくります。 さらに上空の成層圏でも、冬の間は強い西風の極渦が発達しています。
北極は地球全体で、どのような役割を果たしているのでしょうか。人間が生活し工業が発達している地域と離れているから影響はないと思うかもしれませんが、北極は意外と近くにあります。 大気の流れによって、汚染物質なども北極に運ばれています。流れこむ量はわずかであっても、極渦の影響で北極に閉じ込められる傾向もあります。 実際、北極の汚染物質の濃度も高く保たれているのです。これは、北極に住む動物や植物にも影響しかねない問題です。
表(図3)を見てください。北極と地球全体の気温差のグラフです。地球全体が温暖化しているなか、北極は2~3倍の速さで温暖化しているのが分かると思います。
北極が激しく温暖化すると何が起こるでしょうか?
海の氷はとけ、夏には氷に穴が開いた水面が現れます。その面積は年々増えています。(図4)
2012年9月に観測された北極海氷は、1980年代の半分になってしまいました。
海の氷が減ると、海氷を生活の基盤としている生き物たちはどうなるでしょうか?
生活の場所が失われ、生きるのが難しくなります。
また北極の氷がとけると、世界の海面水位が上がってしまい、海岸近くの陸地が水没してしまう大問題も起きてしまう可能性があるのです。
北極の温暖化は日本の気象にも影響するということが分かってきました。
海氷が減ったり、温暖化が進んだりすると、極渦が変形しジェット気流が蛇行(くねくね曲がって進むこと)し、北極の冷たい空気が南の方に下がってくることがあります。
それが日本付近になることが多く、冬の時期になると豪雪などの異常気象がもたらされることもあるのです。
このように、世界中の変化が北極に影響するとともに、北極の変化は決して北極だけにとどまらず、地球全体に影響する可能性があるということを知っておいてください。
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