みなさんは、タロとジロを知っていますか？日本の南極観測隊に同行した、カラフト犬の兄弟です。
1959年（昭和34年）1月14日、南極に置き去りにされてしまったタロとジロが、生存を確認された日です。
第1次南極観測隊と同行
1956年11月、総勢53名の第1次南極観測隊隊員がタロ、ジロを含む22頭のカラフト犬と、南極観測船「宗谷」で南極へ出発しました。
「宗谷」には暑さに弱いカラフト犬たちのために、冷房室が特別に用意されました。（南極にいくには、赤道を通過しなくてはならず、船内もとても暑くなります！）
昭和基地での主な仕事は「犬ぞりを引く」こと
昭和基地に到着すると、病気などでそのまま帰国する3頭をのぞいた19頭の犬たちは、犬ぞりを引く役割などを担いました。越冬中に2頭が病死、1頭が行方不明となり、シロ子は8頭の子犬を産みました。
翌年12月、昭和基地にいる第1次隊員と入れ替わって越冬を行う「第2次越冬隊」を乗せて「宗谷」は南極付近に到着しました。しかし、悪天候により昭和基地に到着できませんでした。
悪天候により観測を断念・・・
アメリカ軍の支援を受けて、なんとか第1次越冬隊員は「宗谷」に戻ることができましたが、カラフト犬たちがいるので昭和基地に残りたいと訴え続けた隊員たちもいました。しかし、次の越冬にもカラフト犬が必要になるので置いてくるよう命令され、昭和基地で生まれた8頭の子犬と母親のシロ子以外の15頭を、食糧2か月分を分配したあとに首輪につなげて置いていくことになったのです。
その後、第2次越冬隊の派遣は命令により断念せざるをえず、それとともに15頭の犬の救出も見送られてしまいました…（置き去りにしたことにより、観測隊は厳しい非難をあび、15頭を供養する銅像も建てられました）
タロ・ジロを救った第3の犬！？
1959年1月14日、第3次越冬隊のヘリコプターによりタロとジロが生きていることが確認されます。残念ながら、7頭の犬が首輪につながれたまま息絶えており6頭は行方が分からなくなっていました。
タロとジロの生還から9年後の1968年、昭和基地そばのとけた雪の中から1匹のカラフト犬の亡骸が見つかりました。特徴から行方不明の最年長だった「リキ」と推測されました。リキは、幼かったタロとジロのお世話を本当の親のようによくしていたようです。タロとジロの生存はリキの存在があったのではないか、と言われています。
左側がタロ、右側がジロ（胸元の白い毛がジロの特徴です）
第3次南極観測隊の永田隊長、地球物理担当兼犬係の北村越冬隊員も一緒に写る貴重な1枚です。
タロとジロの生還は、当時の日本で衝撃と感動をもたらしました。
2頭をたたえる歌まで作られ、開業したばかりの東京タワーに「カラフト犬記念像」が設置されました。
現在は東京都立川市の国立極地研究所に移転しています。
※国立極地研究所にある「南極・北極科学館」のミュージアムショップは当財団が運営しております。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいませ！https://kyokuchi.or.jp/shop/museum
＼観測隊の初期の貴重な資料も！ぜひご覧ください／
