2023年 年頭のご挨拶

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2023年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

ちょうど3年前に始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミックはいまだに収束せず、私たちの日常生活は様々な困難に直面しています。加えて地球温暖化の進行により異常気象が多発するようになってきました。さらに昨年2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、国際間の対立が激化し、国際社会の平和と秩序が脅かされています。

こうした現在の困難な状況を克服するには、予期せぬ課題に果敢に挑戦する行動力のある人材の育成が強く求められます。極地の厳しい自然環境下で未知の課題に挑戦した経験を持つ南極観測隊員や極地専門家はみな「知的好奇心」と「チームワーク」の大切さを語ります。極地はまた地球温暖化問題を考える上で最適な地域です。地球温暖化による環境変化は氷の世界である極地で最も激しく起こっており、ここでの環境変化がホッキョクグマやペンギンなどの生態系に大きな影響を与え始めました。同時に、海氷や棚氷の融解は地球規模の海洋大循環を変化させ、地球全体の気候変動と異常気象の多発を引き起こしています。

そこで当財団は5年前から、南極・北極地域を、SDGs(持続可能な開発目標)の担い手を育成するための最適な教材ととらえ、小中高校生向けの各種の冊子やデジタル教材を開発し、極地専門家を外部講師として派遣するSDGs教育活動を行ってきました。昨年は新たに小学生向けの「南極・北極SDGs探究学習コンテスト」を開催し、全国の小学生(1年生から6年生まで)から100篇以上の意欲的な作品の応募があり、現在その審査を進めています。

当財団は、南極・北極地域を活動対象とした唯一の公益財団法人として、「南極・北極から地球の未来を考える」をミッションステートメントとして、本年も極地での研究・教育活動への助成事業と南極・北極SDGs事業を推進してまいります。そのためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を重視し、極地関係者とのパートナーシップを強化していきます。皆様の一層のご鞭撻、ご支援をお願い申し上げます。

2023年1月1日
公益財団法人 日本極地研究振興会
代表理事 福西 浩