平成28年の新年を迎え、心から本年が世界の人々が、平和で実り多き年でありますよう、皆様とともに祈りたいと存じます。 本年は、我が国が戦後７０年の節目の年と言われた昨年から、その様々な回顧を経て新たな第一歩を踏み出す年であります。そして、我が国が唯一の敗戦国、唯一のアジアの国として、他の11か国に伍して南極観測をスタートさせ、世界の科学界に復帰を果たしてから60周年を迎える年でもあります。 当財団は、こうした南極観測が幾つかの事情で一時中断していた1964年12月、ささやかながら南極観測に対する後援、研究への助成や観測成果の普及を目的に設立され、やがて特定公益増進法人として、その事業を進めて参りました。平成25年4月1日からは新たな制度で移行を認められた公益財団法人として、事業の遂行に当って参りましたが、東日本大震災とも関連した社会環境の変化、運営に当って参った職員の健康上の理由による相次ぐリタイアなどによる困難さに遭遇しました。しかし、これを南極観測仲間の直接の協力により克服し、昨年7月末には事務所を東京都心から国立極地研究所に近い立川に移転し、心機一転、新たな活動を加えて、一層の発展を図ることといたしました。 本年は、その成果を挙げる初年度として、第一歩を踏み出す年であります。 年頭に当たり、皆様の一層のご理解ご支援をお願い申上げます。 代表理事　吉田榮夫