メールマガジン 第10号(2017年7月14日発行)

シリーズ「昭和基地だより」 第4回

極夜の季節を過ごす隊員たちの生活について 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 医療担当 大江 洋文  日本は今夏の真っ盛りだと思いますが昭和基地のある南半球では季節は逆の冬、しかも昭和基地は高緯度にあるため5月31日から7月12日までは、太陽が全く上ってこない極夜という期間になります。隊員たちはこの暗くて寒い時期を元気に乗り切るために、6月21日の夏至(南半球では冬至に相当)をはさんで隊員同士の士気

シリーズ「昭和基地だより」 第3回

越冬隊の一番の楽しみは食事 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 調理担当 青堀 力  現在、昭和基地では2名の調理隊員が交代で食事を作っています。朝食は和・洋のバイキング形式。必ず焼きたてのパンを出し、メニューも少しずつ変えて飽きないよう心掛けています。太陽が昇らない極夜を迎えている今、きちんと食事をとることで体の調子を狂わさないよう心掛けています。娯楽の少ない南極では食事が一番の楽しみ。皆が笑顔で

シリーズ「南極観測隊エピソード」 第9回

南極観測と朝日新聞その9 元朝日新聞社会部記者 柴田鉄治 新観測船「ふじ」で南極観測が再開!  1965年11月8日の東京港は、新観測船「ふじ」が4年ぶりに南極に向かう出港式に大勢の人たちが詰めかけ、大変な賑わいだった。同行記者に選ばれた私の見送りにも、新婚2か月の妻をはじめ、両親や兄弟姉妹、それに多くの友人たちの姿もあった。  やがて、私は船上に、見送りの人たちは岸壁に、と分かれ、テープの両端を

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」 第10回

南極での小型航空機の利用 -スコットの係留気球から「宗谷」搭載のセスナ機まで- 国立極地研究所極地工学研究グループ 石沢 賢二 1. はじめに  南極での探検や科学観測活動をするためには、何と言っても人員や物資の輸送がいちばん大事です。海には海氷が立ちはだかり、通常の船では太刀打ちできず、砕氷船が必要です。陸地では特殊な雪上車や橇が欠かせません。ところが、空に目を移すと、気温が低いだけで、通常の航

シリーズ「南極にチャレンジする女性たち」第5回

南極で超高層大気の謎に挑む 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 江尻 省 南極大陸H67地点での作業終了後、しらせのヘリを待っている間に、雪にカルピスをかけて食べた時の写真。心に残る美味しさでした。 インタビューは昨年11月25日に、日本極地研究振興会の立川事務所で行いました。 インタビュアー:福西 浩 福西 今回は第58次南極地域観測隊の重点研究観測担当隊員として、昭和基地での越冬観測を担当するこ

シリーズ「南極・北極研究の最前線」第11回

南極における無人小型航空機(UAV)を用いた地形調査とその解析結果について 総合研究大学院大学 大学院生 川又 基人 1. UAVによる空撮と三次元形状計測技術  近年の地形学分野では無人小型航空機(Unmanned Aerial Vehicle:以下UAV)を使用した高解像度の地形情報取得が注目されている。UAVの搭載するカメラによる空撮と、撮影対象物の三次元形状を計測する技術(Structur

シリーズ「極地からのメッセージ」 第9回

社員一丸で挑む、新たな冒険の始まり DACグループ代表 石川 和則 セブンサミッツという言葉を聞いたことはあるだろうか。世界にある七大陸の最高峰を総称した呼び名だ。5年前、DACグループ創立50周年事業の1つとして「セブンサミッツプロジェクト」を立ち上げたが、社員のほとんどが耳馴染みのない言葉だったろう。しかし、今では社員の誰もが知り、当たり前に口にするワードとなった。 前回の記事でお伝えした通り