シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第22回
内陸の前進拠点・みずほ基地 (その2、15次隊から20次隊までの活動)石沢 賢二 (元国立極地研究所技術職員) 非常時の頼りは雪上車 前回は、15次隊の越冬終了間際に、発電機エンジン周辺で火災が発生したことに触れました。みずほ基地は、昭和基地から約300kmも離れた内陸にあり、冬期に大きな事故が起きたら大変ことになります。最も怖いのが火災です。基地が使えなくなった時の逃げ場は、11次隊が建設した
日本極地研究振興会のWEBマガジン
内陸の前進拠点・みずほ基地 (その2、15次隊から20次隊までの活動)石沢 賢二 (元国立極地研究所技術職員) 非常時の頼りは雪上車 前回は、15次隊の越冬終了間際に、発電機エンジン周辺で火災が発生したことに触れました。みずほ基地は、昭和基地から約300kmも離れた内陸にあり、冬期に大きな事故が起きたら大変ことになります。最も怖いのが火災です。基地が使えなくなった時の逃げ場は、11次隊が建設した
小山 悟(株式会社ミサワホーム総合研究所 南極研究プロジェクト、第60次南極地域観測隊越冬隊 建築・土木担当) 南極観測隊の活動拠点となる昭和基地は、60年以上にわたる大切な観測の継続のために、様々な設営作業によって整備が進められてきました。観測のための建物やアンテナ設備等の建設は勿論ですが、生活基盤として必要な発電機・給水装置・汚水処理施設・焼却炉等の整備、それらが収まる建物や居住施設も建設・改
小林正幸((公財)日本無線協会、第25次、第46次南極越冬隊員) はじめに 「アマチュア無線」と言っても、携帯電話やスマートフォンという無線装置を自由に使いこなしている最近の若い人にはピンとこないと思います。誰かと話したり、インターネットを利用したりするのに、有線とか無線とかを意識する必要がないほど無線通信は日常生活に浸透しています。これら無線を使った装置は、使用する目的に合った電波(周波数)を
兒玉裕二(国立極地研究所 国際北極環境研究センター特任教授) 国立極地研究所は、ノルウェーのスバールバル諸島ニーオルスン(Ny-Ålesund)(図1)に恒久的な観測基地を1991年から設置し、国内外の研究機関と協力しながら北極圏の自然環境に関する様々な分野の研究を進めています。これまで使用していた建物の老朽化に伴い、各国の基地や施設が集まっているニーオルスン中心部に新研究棟Kings Bay V
極夜の季節を過ごす隊員たちの生活について 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 医療担当 大江 洋文 日本は今夏の真っ盛りだと思いますが昭和基地のある南半球では季節は逆の冬、しかも昭和基地は高緯度にあるため5月31日から7月12日までは、太陽が全く上ってこない極夜という期間になります。隊員たちはこの暗くて寒い時期を元気に乗り切るために、6月21日の夏至(南半球では冬至に相当)をはさんで隊員同士の士気
越冬隊の一番の楽しみは食事 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 調理担当 青堀 力 現在、昭和基地では2名の調理隊員が交代で食事を作っています。朝食は和・洋のバイキング形式。必ず焼きたてのパンを出し、メニューも少しずつ変えて飽きないよう心掛けています。太陽が昇らない極夜を迎えている今、きちんと食事をとることで体の調子を狂わさないよう心掛けています。娯楽の少ない南極では食事が一番の楽しみ。皆が笑顔で
10年ぶりに流れた海氷 第57次南極地域観測隊 越冬隊長 樋口 和生 南半球の春分を目前に控え、一日の半分の時間太陽が顔を見せてくれるようになった。 南極入りして約9ヶ月、越冬生活が始まって8ヶ月を迎えようとしている。太陽が昇らない極夜を越えてきた身としては、暖かさを増した日の光がことのほか嬉しく思える。我々57次越冬隊は、これまでのところ大きな事故やトラブルもなく、隊員は精力的に任務をこなし、昭
30人の越冬生活始まる 第57次南極地域観測隊 越冬隊長 樋口和生 越冬の始まり 第57次南極地域観測隊越冬隊は、30人の体制で現在昭和基地に越冬中だ。2月1日に越冬交代式を行ない、1年間基地を守り続けてきた56次越冬隊から基地運営の一切を引き継いだ後、部門間の引継ぎや夏期作業支援のために最後まで残留していた56次越冬隊と57次夏隊の一部の人が2月14日に南極観測船「しらせ」に引き上げる最終便を見