北極

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サイエンスシリーズ「オーロラから宇宙環境を知る」第1回

太陽黒点11年変動とオーロラ活動 福西 浩(東北大学名誉教授)  オーロラは、地上約100kmよりも高い宇宙空間と呼ばれる領域で希薄な大気が輝く現象です。地上付近の大気圧は1気圧ですが、高度が高くなるにつれて大気圧は急激に下がり、高度100kmでは地上の300 万分の1まで下がります。このような希薄な大気では大気中の酸素分子(O2)や窒素分子(N2)は太陽紫外線で酸素原子(O)や窒素原子(N)に分

ESD副読本・学習プログラム「南極・北極から地球の未来を考える」のご紹介

 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」(図1)は、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標です。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。我が国でも経済界や地域社会などすべての分野でSDGsへの取り組みが始まっています。SDGs達成のためにはそれを担う人材の育成が緊急の課題となっており、文部科学省は新規事業として2019年度か

2021年版南極カレンダーのご案内

 南極観測事業から得られた成果を広く社会に普及啓発するための事業の一環として、毎年「南極カレンダー」を作成し、販売しています。南極探検・観測の長い歴史の中の特筆すべき出来事が、その起こった月日に記載されており、また各月の写真についての解説も最後のページにあり、カレンダーを見ながら南極について楽しく学ぶことができます。 2021年版は、各月の写真に第60次および第61次南極地域観測隊の隊員が撮影した

北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の開始

榎本浩之(国立極地研究所 教授) 1.北極研究の最近10年の動き  2020年6月1日より北極域研究加速プロジェクト(Arctic Challenge for Sustainability Project II:ArCS II)が開始した。日本の北極研究は2011年以降、大きな動きとなって実施されてきている。この活動をさらに加速すべくArCS IIが開始することとなった。2011-2015年には、

アラスカから届ける、太陽活動停滞期のオーロラ

八重樫あゆみ(写真家・ツアーガイド)  2020年7月。夏の季節も半分過ぎ去ろうとしている。そして、あとひと月半ほどでオーロラの季節がやってくる。近年、太陽黒点数は2014年頃を境に徐々に減少し、現在は太陽黒点の現れない日が年間に70%以上を占めるような太陽活動停滞期に突入している。オーロラの活動度は太陽活動に比例し、黒点数が多ければ多いほど太陽フレアやCME(コロナ質量放出)が発生しやすく、オー

北極大学の取り組み

吉川謙二(アラスカ大学フェアバンックス校・教授) 北極大学(University of the Arctic)とは、実際に校舎が存在しない架空の大学で、アラスカ大学をはじめオタワ大学、オスロ大学、ストックホルム大学、ロシア連邦大学など北極地域の大学や研究機関が協力しあってネットワークを作っている組織である。主に各大学間で単位をシェアして学生を行き来させて、教育や研究活動を交流する場となっている。北

シリーズ「南極・北極研究の最前線」第14回

ウェッデルアザラシの越冬生態の調査 國分亙彦(国立極地研究所助教 第58次南極地域観測隊越冬隊員) 高次捕食動物と南極の海洋環境  私は58次越冬隊員として2016年12月から2018年2月まで昭和基地に滞在してウェッデルアザラシの生態を調査してきた。生物分野の隊員が昭和基地で越冬観測をするのは稀であり、今回は45次隊以来、13年ぶりである。冬は一般的に生物の活動性が低下する時期であり、この時期を

アッパリアホ捕り-北グリーンランドの夏の楽しみ

林 直孝(カルガリー大学文化人類学考古学科) 七月六日、ヒオガッパルッから西へ三キロほどのアチキャッドに着いた。海からそそり立つ瓦礫の山の頂から「フィーン、フィーン、フィーン」という音が響き渡り、時折、「ピリリリーッ、ピッピッピッピッピッ、プッ!」「フィッフィッフィッフィッ、フィーッ!」という声が澄んだ空気を切り裂く。ちょうどアッパリアホ(appaliarsuk, 英名little auk [Al

「しらせⅡ」を眺めながらの「南極・北極グッズ販売」

-もう一つの南極観測の成果の普及と啓発活動- 岩坂泰信(一般社団法人環境創造研究センター) 要旨 2019年10月5日、6日の両日、名古屋港のガーデンふ頭で(公財)日本極地研究振興会の南極記念品販売をおこなった。当日は、しらせⅡ(現在、就航中の南極観測船しらせを先代のしらせと区別)が名古屋港で一般公開中であった。両日とも天気に恵まれ順調に記念品販売が進捗した。今後も継続されるであろう販売活動の参考

シリーズ「南極・北極研究の最前線」第14回

スリランカと昭和基地周辺域(リュツォ・ホルム岩体)の地質学的関連性 北野一平(九州大学大学院比較社会文化研究院 特任助教)  インド洋上の熱帯島国であるスリランカは、現地語で「光り輝く島」という意味でその名の通り宝石の産地として有名である。そのスリランカから南西へ約9000 km離れた東南極昭和基地周辺でも、スリランカと類似する岩石が露出している。これは、約6.5–5.0億年前に南米、アフリカ、マ

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