南極

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シリーズ「日本の南極地域観測事業を支える企業たち」第14回

株式会社大原鉄工所 〜日本の南極観測事業を雪上車で支える〜(その2) 第62次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員古見直人(機械・雪上車担当)インタビューは遠隔で10月20日に行いました。聞き手は 渡邉研太郎(日本極地研究振興会常務理事・国立極地研究所名誉教授) 第一部では、南極観測隊に参加するきっかけ等をお話しいただきました。今回の62次隊での越冬について、更にお聞きします。 渡邉(以下W):

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」 第24回

南極基地の発電設備石沢賢二 元国立極地研究所技術職員 1. はじめに  南極には20か国、41箇所(2017年)の越冬基地があります。そのほとんどは、船が接近しやすい沿岸部にあり、そこから1,000km以上も離れた南極大陸氷床上には、米国のアムンセン・スコット南極点基地、フランス・イタリア共同運営のコンコルディア基地、ロシアのヴォストーク基地しかありません。沿岸、内陸を含め、それらの基地の電力は、

シリーズ「日本の南極地域観測事業を支える企業たち」第14回

株式会社大原鉄工所 〜日本の南極観測事業を雪上車で支える〜(その1) 第62次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員古見直人(機械・雪上車担当)インタビューは遠隔で10月20日に行いました。聞き手は 渡邉研太郎(日本極地研究振興会常務理事・国立極地研究所名誉教授) 渡邉(以下W):本日はインタビューの時間を作っていただき有難うございます。大原鉄工所は毎年雪上車の担当者を南極観測越冬隊に派遣していま

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」 第23回

内陸の前進拠点・みずほ基地 (その3 20次隊から27次隊) 石沢賢二 元国立極地研究所技術職員 1. 30m観測用タワーを使った研究 第20次隊が建設した30m観測用タワー(図1)を使って大気・雪氷関連の研究が行われました。放射収支や大気境界層、飛雪空間密度の高度分布などの観測です(1,2,3,4)。ブリザード時の飛雪の高度分布で思い起こされるのは、第1次隊の西堀越冬隊長が行った「タバコの空き缶

サイエンスシリーズ「オーロラから宇宙環境を知る」第1回

太陽黒点11年変動とオーロラ活動 福西 浩(東北大学名誉教授)  オーロラは、地上約100kmよりも高い宇宙空間と呼ばれる領域で希薄な大気が輝く現象です。地上付近の大気圧は1気圧ですが、高度が高くなるにつれて大気圧は急激に下がり、高度100kmでは地上の300 万分の1まで下がります。このような希薄な大気では大気中の酸素分子(O2)や窒素分子(N2)は太陽紫外線で酸素原子(O)や窒素原子(N)に分

ESD副読本・学習プログラム「南極・北極から地球の未来を考える」のご紹介

 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」(図1)は、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標です。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。我が国でも経済界や地域社会などすべての分野でSDGsへの取り組みが始まっています。SDGs達成のためにはそれを担う人材の育成が緊急の課題となっており、文部科学省は新規事業として2019年度か

2021年版南極カレンダーのご案内

 南極観測事業から得られた成果を広く社会に普及啓発するための事業の一環として、毎年「南極カレンダー」を作成し、販売しています。南極探検・観測の長い歴史の中の特筆すべき出来事が、その起こった月日に記載されており、また各月の写真についての解説も最後のページにあり、カレンダーを見ながら南極について楽しく学ぶことができます。 2021年版は、各月の写真に第60次および第61次南極地域観測隊の隊員が撮影した

セール・ロンダーネ山地 地質調査チーム 写真日記

赤田幸久(第61次南極地域観測隊 夏隊 野外観測支援) セール・ロンダーネ山地(以下「セルロン」と省略)・・・ 何度訪れても本当に素晴らしい場所です。 地学の研究者の方々にとっても、地球上で数少ない貴重な調査エリアとのことです。 この地では、26次隊で「あすか基地」が開設されてから32次隊まで、様々な観測・設営活動が行われてきました(28次~32次隊は越冬)。大量の積雪などにより「あすか基地」は1

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第22回

内陸の前進拠点・みずほ基地 (その2、15次隊から20次隊までの活動)石沢 賢二 (元国立極地研究所技術職員) 非常時の頼りは雪上車  前回は、15次隊の越冬終了間際に、発電機エンジン周辺で火災が発生したことに触れました。みずほ基地は、昭和基地から約300kmも離れた内陸にあり、冬期に大きな事故が起きたら大変ことになります。最も怖いのが火災です。基地が使えなくなった時の逃げ場は、11次隊が建設した

昭和基地での建設作業風景:2018年12月~2019年12月

小山 悟(株式会社ミサワホーム総合研究所 南極研究プロジェクト、第60次南極地域観測隊越冬隊 建築・土木担当) 南極観測隊の活動拠点となる昭和基地は、60年以上にわたる大切な観測の継続のために、様々な設営作業によって整備が進められてきました。観測のための建物やアンテナ設備等の建設は勿論ですが、生活基盤として必要な発電機・給水装置・汚水処理施設・焼却炉等の整備、それらが収まる建物や居住施設も建設・改

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