国立極地研究所のニーオルスン新観測基地が完成

兒玉裕二(国立極地研究所 国際北極環境研究センター特任教授)

国立極地研究所は、ノルウェーのスバールバル諸島ニーオルスン(Ny-Ålesund)(図1)に恒久的な観測基地を1991年から設置し、国内外の研究機関と協力しながら北極圏の自然環境に関する様々な分野の研究を進めています。これまで使用していた建物の老朽化に伴い、各国の基地や施設が集まっているニーオルスン中心部に新研究棟Kings Bay Veksthus(図2)が完成しましたので、2019年4月にそこへ移転しました。 

図1.スバールバル諸島ニーオルスンの位置

 ニーオルソン観測基地は世界で最も北(北緯78度55分)にある恒久的な観測施設です。白夜や極夜が約4か月あり、最寒月の平均気温は-14.6℃、最暖月(7月)は+4.9℃です。年平均降水量は約385㎜です。

 ニーオルスンは、ノルウェーが管理する国際観測村(図3)で、Kings Bay AS(キングスベイ社)が各観測施設を管理運営しています。ノルウェー、日本に加えて、ドイツ、フィンランド、イタリア、オランダ、フランス、英国、中国、韓国、インドなどが利用しています。日本は1991年の基地開設以来、温室効果ガスや大気中エアロゾルの連続観測、北極域の生態系調査などを継続してきました。

図2.日本の基地がある新観測棟Veksthus。
(出典 https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20190927.html)  
図3.ニーオルソン観測村。赤丸が新研究棟を指す。
(出典 https://www.nipr.ac.jp/aerc/kyodo/Ny-Alesund.html

兒玉裕二(こだま ゆうじ)プロフィール

国立極地研究所 国際北極環境研究センター特任教授、国際研究企画室・上席URA兼任。北極圏環境研究コンソーシアム事務局長として日本の北極研究者の取りまとめや国際シンポジウム・国際研究集会の開催、国際連携研究に尽力。専門は雪氷学、気象学。 本記事は、「南極と北極の総合誌『極地』110号」(2020年3月発行)に掲載された「トピックス北極」の中の記事の転載です。

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