「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」を全国で開催

福西 浩(公益財団法人 日本極地研究振興会 常務理事)

小・中学生向け「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」が公益財団法人JKAの平成30年度の補助事業「青少年の健やかな成長を育む活動」の一つに採択されましたが、2019年度(令和元年度)も継続して補助事業に採択されました。開催を希望する学校を募集し、全国で開催していきます。

「地球環境変動を学ぶ南極・北極教室」とは

①南極と北極の原生的な自然と生き物たちの世界を学び、自然環境を守ることの大切さについて考えます。
南極地域の環境と生態系の包括的な保護を図るために、「環境保護に関する南極条約議定書」が1991年に採択され、1998年に発効しました。議定書にもとづく先進的な環境保護の取り組みは、世界各国が協力して持続可能な社会を構築するための良き指針となっています。最近では地球最後の秘境として毎年多数のツアー客が南極・北極域を訪れていますが、環境保護に貢献することが義務づけられています。

②南極と北極の氷の融解によって地球温暖化が急速に進んでいることを学び、これから起こる気候変動や生活環境の変化など、地球の未来について考えます。
南極大陸の面積と北極海の面積はほぼ等しく、約1,400万㎢(日本の約37倍)ですが、南極大陸が平均2,000mの厚さの氷の大陸であるのに対して北極海の海氷の厚さは数メートルしかありません。北極と南極での温暖化の違いを調べることによって地球温暖化の仕組みがわかってきました。

③夢を持つこと、好奇心を持って未知の領域に挑戦すること、そしてグローバルな発想とチームワークの大切さを学びます。
SDGs(持続可能な開発目標)を達成するための様々な取り組みが始まっていますが、行動力とリーダーシップがある人材がいま求められています。厳しい自然環境下の南極・北極域で活動した人たちはそうした能力がきわめて高く、その経験を子供たちのキャリア教育に活かします。

南極・北極教室の教材

教材として以下の3種類を制作しました。

  • 冊子「南極・北極から学ぶ地球環境変動」(A4、全52ページ)
  • DVD「南極と北極から学ぶ地球の温暖化」(上映時間15分)
  • 南極大陸地図、北極域地図(各A2サイズ、縦42cm ×横59.4cm)

冊子「南極・北極から学ぶ地球環境変動」(A4、全52ページ)

DVD「南極と北極から学ぶ地球の温暖化」(15分)のジャケット

南極大陸地図(A2サイズ、縦42cm ×横59.4cm)

北極域地図(A2サイズ、縦42cm ×横59.4cm)

南極・北極教室の内容

南極・北極域の自然環境、海と陸の生き物たち、オーロラ、研究者や技術者の未知への挑戦、南極地域観測隊に参加した小・中・高校教員の体験談など、様々なテーマを開催校の希望によって設定し、授業プログラムを提案します。 授業に必要な教材は、当財団が制作した冊子、DVD、南極大陸地図、北極域地図の中から開催校と相談して選びます。 講師は、南極地域観測隊経験者、南極・北極域での活動経験をもつ研究者、技術者、教員、ジャーナリスト、冒険家など、開催校が希望する講師を選定し派遣します。 授業時間は2時限分(45分×2)を基本とします。

【プログラムの例】

STEP1(15分)
南極と北極の自然・生き物たち・環境変動を学ぶ
地球温暖化によって変わる自然環境や生き物たちの生活を学び、極地で活躍する研究者や冒険家からのメッセージを聞く。
STEP2(30分) レクチャー
南極・北極経験者が語る未知への挑戦
南極地域観測隊OBや南極・北極経験者が自分の夢と未知の領域に挑戦することの大切さについて語る。
−休み時間 10分−
STEP3(30分) グループ学習
グループに分かれて南極と北極について調べる
冊子「南極・北極から学ぶ地球環境変動」、南極・北極地図、南極の氷や石などを調べ、気がついたことや疑問点をまとめる。
STEP4(15分) プレゼンテーション
発表・質問コーナー
グループ学習の結果を発表し、互いに自由に質問する。

南極・北極教室開催経費

講師派遣のための講師料と交通費は当財団が負担します。 教材費の単価は、冊子500円、DVD800円、南極大陸地図500円、北極域地図500円です。開催校と相談して教材の種類と必要数を決めます。

🔶南極・北極教室開催申込み

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