コウテイペンギンのヒナが1万羽近く死んでしまった…その原因にせまる!

 

\新シリーズ/
南極観測隊元隊長と読む極地のニュース」
南極観測隊元隊長が、話題となっている極地関連のニュースを解説します

※画像はクリックすると拡大します。

✅ 南極で起きた異常事態

2023年8月下旬げじゅん、イギリスの研究者けんきゅうしゃたちが「南極のかいひょうがとけ、1万羽ちかくのコウテイペンギンのヒナがんだ可能性かのうせいがある」というおどろきの報告ほうこくを論文を、科学誌ネイチャー(電子版)に掲載して話題わだいとなりました。

南極のベリングスハウゼン海に存在そんざいする、コウテイペンギンの5つのコロニーのうち4つで、2022年の南極の春に巣立すだちできたヒナが1羽もいなかったことが報告されたのです。

✅ コロニーとは?

コロニーとは「集団しゅうだん繁殖地はんしょくち」のこと。

コウテイペンギンは、産卵さんらん子育こそだて、羽の生え変わりである換羽かんうを行うため安定あんていした海氷が必要ひつようなのです。

コウテイペンギンだけではなく、ほとんどのペンギンがコロニーをつくります。「ルッカリー」とばれることもあります。

コロニーの様子(写真はオウサマペンギンです。コウテイペンギンととても似ていますが、見分け方わかりますか?)

✅ なぜこんなことが起きたのでしょう?

これは、南極の海氷が減少げんしょうしたことが原因とされています。
温暖化おんだんか影響えいきょうで、南極の海氷がとけてヒナがおぼれたかとうしてしまったことが考えられます。

成鳥せいちょうとなったペンギンの羽は水をはじくが、ヒナはふわふわした産毛うぶげだけで水をはじかず、換羽するまで海に入ることはできません。つまり防水ぼうすい機能きのうがないのです。

以前いぜんより、南極の海氷は温暖化の影響でどんどん減少していることが問題もんだいとなっていましたが、その影響が直接ちょくせつでた結果けっかとなりました。

✅ まめちしき

コウテイペンギンに限らず、ペンギンのヒナたちはふわふわの産毛をしています!

🐧左から、ジェンツーペンギン、アデリーペンギン、ヒゲペンギン

✅ 温暖化の影響は、海氷の減少だけではない!

温暖化が進むと、るはずだった雪が雨に変化してしまうこともあります。雨は、ふわふわの羽毛を直接ぬらしてしまうので、体温をうばい、凍えて死んでしまいます…

別の研究では、今世紀こんせいきまでに90%をえるコウテイペンギンの繁殖地がうしなわれると予測よそくされており、絶滅ぜつめつ危機ききにさらされています。

私たち人間にできること、しなくてはいけないことは何でしょうか?

👑【告知】南極・北極SDGs探究学習コンテスト開催中!

みなさんは南極・北極についてどんなことを知っていますか?
南極・北極は、温暖化が他の地域より急速に進んでいて、地球の未来を考えるための大切な場所になっています。

温暖化は人間の活動が主な原因とされています。私たちの生活が、遠く離れた場所に住むペンギンたちの命を奪うことにもつながっている可能性があるのです。

お友達や家族と一緒に、SDGsを実現するために何ができるのか考えてみませんか?

>> 南極・北極SDGs探究学習コンテストの詳細はこちら

執筆者紹介

渡邉研太郎
渡邉研太郎

1 9 7 9年に国立極地研究所生理生態学部門の助手に採用され、海洋生物を研究。第2 2次夏隊を皮切りに南極観測隊に7回参加し、第4 1、4 6次隊では越冬隊長、第5 4次隊では観測隊長を務めた。
国立極地研究所 名誉教授、農学博士、日本極地研究振興会常務理事