\新シリーズ/南極観測隊元隊長と読む「極地のニュース」 南極観測隊元隊長が、話題となっている極地関連のニュースを解説します ※画像はクリックすると拡大します。 ✅ 南極で起きた異常事態 2023年8月下旬げじゅん、イギリスの研究者けんきゅうしゃたちが「南極の海かい氷ひょうがとけ、1万羽ちかくのコウテイペンギンのヒナが死しんだ可能性かのうせいがある」という驚おどろきの報告ほうこくを
橋田 元 今回は第3弾!「第61次、第62次隊の越冬交代式」 【 記事・写真提供:国立極地研究所(@kyokuchiken)】 ※画像はクリックすると拡大します。 ⏰ 2021年1月5日 ~迷子石~ 寡聞にして命名の経緯は承知していないが、自分の意志でもとの場所から離れたのではないから、漂石のほうがしっくりする。いずれにせよ壮大な時間スケールを読み取れる言葉だ。 一方 glac
橋田 元 今回は第2弾!「いよいよ南極大陸に到着!」 【 記事・写真提供:国立極地研究所(@kyokuchiken)】 ※画像はクリックすると拡大します。 ⏰ 2020年12月13日 ~白夜に突入!~ 昨晩“しらせ”は流氷縁に到達し、日中は流氷が点在する氷海を航行した。 日中と言ってもこの日から白夜に入ったのでしばらく夜はない。徐々に海氷の密接度が高まり、凪いだ氷海は鏡のようだ
林 由希恵 PARADICE HARBOUR(パラダイス・ハーバー) 序章 私の学生時代の反抗期は激しかった…と思う。心の底から押さえられないほどの衝動で両親を毛嫌いした。この親から産まれてこなければよかったなど、今思えばなんであんなに、と猛省するほどの感情を持て余していた。私の態度に傷つきストレスから円形脱毛症をわずらってなお毎日お弁当を作り続けてくれた母。毎日学校の送り迎えを続けてくれた父。
橋田 元 2020年11月に日本を出発し、2021年2月に南極から帰国した第62次日本南極地域観測隊・夏隊(JARE62)の橋田隊長のミニレポートです。コロナウィルス感染拡大のなかの出発となり、感染予防をしながらの出航となりました。レポート期間は2020/11/29~2021/02/21です。【 記事・写真提供:国立極地研究所(@kyokuchiken)】 今回は第1弾!「コロナ渦に南極大陸にむ
林 由希恵 PORTAL POINT(ポータル・ポイント) 序章 1912年、いまから110年も前に白瀬矗が南極に上陸しその時の最南到達点から見渡す限りの一面を「大和雪原」と命名した。実際はその地点周辺は海にせり出す棚氷(海の上にせり出す氷河の氷)の上だったわけで、白瀬矗は一片の岩石も持ち帰れなかったことを悔やんだそうだ。白瀬矗は南極に上陸した、といえるのか?と多くの国際機関においていまだに審議
石沢 賢二 南極の地名から辿る物語り ハレー基地(2) 前回(その1)では、イギリスのハレー基地がなぜ彗星で有名な学者の名を基地に採用したのか?について検討してみた。それは、科学的探検航海を目的として初めて南氷洋に乗り出した先駆者だったからに他ならない。今回は、エドモンド・ハレーのその他の業績を見てみよう。 1.エドモンド・ハレーの業績 天文学者としてのハレー ハレー(図1)は、オック
林 由希恵 BROWN BLUFF(ブラウン・ブラフ) ブラウン・ブラフの地図をみる 「鳥はどこにでもいるんだよ。陸海空どこにでも住むことができるし、食べ物のために地球を半周することもできる。でも、それは自由っていうわけではないんだよ。だから僕は鳥が好きなんだ。」―同じ船で働くフランス人の鳥類学者がそう言った。船がウシュアイアの港を出港してから、南アメリカ大陸と南極大陸の間にある荒波のドレイク海
2021年年末フェアバンクスを襲ったスノーストームと大規模な停電 八重樫あゆみ クリスマス直前の12月23日、天気予報を見ていた私は思わずニ度見してしまった。12月26日朝までに、積雪予想60センチ強。その後まさかの大雨予報。本当にそんなものが降るのか?真冬のフェアバンクスで…?予報が大きくブレただけなんじゃないのか? 皆、戦々恐々としており、Facebook内でも不安を 抱く人々の投稿が散見さ
林 由希恵 Neko Harbour(ネコ・ハーバー) 凍った斜面をなれない長靴で上ってきて上気した私の頬に冷たい風が心地よく感じる。眼下には海になだれ込む氷河と無数の氷山が浮かぶ入り江が見える。ホームに暮らす年老いた祖父はベッドの上から一言、「見てこい」と私を送り出した。はじめ眼前に広がる光景にキョロキョロと落ち着かなく動いていた私の目がそのうち一点に定まり、意識的にゆっくりと瞬きをするごとに