メールマガジン 第12号(2018年1月26日発行)

シリーズ「日本の南極地域観測事業を支える企業たち」第3回

株式会社関電工~昭和基地の電力設備を担う~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 内山 宣昭 夏隊員 松嶋 望 オーロラが舞う昭和基地(関電工から第57次南極越冬隊に派遣された岡本龍也隊員撮影) 電気工事や情報通信工事の分野で日本を代表する企業である関電工は、1986年の第28次南極観測隊から延べ32回、社員を南極観測隊に派遣し、昭和基地の電力設備の整備とメンテナンスを担ってきました。第

シリーズ「日本の南極地域観測事業を支える企業たち」第2回

KDDI株式会社~昭和基地のインテルサット衛星通信とLANを守る~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 齋藤 勝 南極・昭和基地のインテルサット衛星通信設備 (写真は第56次隊・田村勝義隊員提供) 南極の昭和基地と1万4千キロ離れた日本との通信手段は当初は短波通信しかなく、わずかな情報しか送ることができませんでした。その後、第29次隊(1988年)からインマルサット衛星通信が利用できる

シリーズ「日本の南極地域観測事業を支える企業たち」第1回

ミサワホーム株式会社~昭和基地で建物をつくる~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 夏隊員 坂下 大輔、後閑 洋希 越冬隊員 佐藤 啓之 南極・昭和基地の中心部(第57次南極観測隊・梅津正道隊員提供) ミサワホームは第10次南極観測隊用の第10居住棟を1968年に直接受注して以来今日に至るまで、南極の厳しい自然環境に耐える木質接着複合パネルの建物を提供し続けてきました。その実績は累計 36 棟、

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」 第12回

内陸氷床上基地の高床式建物とその維持 -その1 雪による埋没との闘い- 国立極地研究所極地工学研究グループ 石沢 賢二 1.はじめに  南緯60度以南の南極圏で通年越冬し観測活動を実施している基地は、現在43か所あります(2017年3月末)。そのほとんどは、南極大陸沿岸や近傍の島の露岩に位置し、大陸内部の雪面上にあるのは、ほんのひと握りに過ぎません。主なところでは、米国が運用するアムンセン・スコッ

シリーズ「南極・北極研究の最前線」第12回

中央ドローニングモードランド、基盤岩体区分について 琉球大学教育学部教授 馬場壮太郎  地殻は地球表層部に分布し、大陸地殻と海洋地殻に区分される。大陸地殻は主に花崗岩質岩(下部は玄武岩質)と海洋地殻は玄武岩質岩などの岩石からそれぞれ構成される。大陸地殻は30km-60kmの厚さがあり、面積では約41%を占める。地球誕生後の初期地殻は日本列島のような島弧地殻であったと考えられており、その後離合集散と

シリーズ「極地からのメッセージ」 第10回

減りゆくグリーンランド氷床の謎に迫る~国際共同掘削プロジェクトEGRIPを訪れて~ 朝日新聞社会部記者 中山 由美 グリーンランド北部の内陸に位置するEGRIPにて。後ろの黒い球体がメインドームだ。  白くまぶしく光る氷原に黒い球体がぽつんと立つ。グリーンランド南西のカンガルースアックから航空機で3時間弱、見下ろす白い世界に突如、奇妙な物体が現れた。国際プロジェクト「EGRIP」の氷床掘削サイトだ

シリーズ「南極観測隊エピソード」第11回

南極観測と朝日新聞その11 元朝日新聞社会部記者 柴田鉄治  私が同行記者として参加した再開第1次、7次隊の報告を続ける。新しい砕氷船「ふじ」が昭和基地から約50キロの氷盤に接岸したとき、500羽ほどのペンギンの出迎えを受けたところまで前号で記した。その後の7次隊の様子を続けたい。 昭和基地は無事、戸をこじ開けて入る  接岸した「ふじ」から昭和基地へ1番機が飛んだ。シコルスキー61型の大型ヘリに乗