メールマガジン 第22号(2020年7月27日発行)

サイエンスシリーズ「オーロラから宇宙環境を知る」第1回

太陽黒点11年変動とオーロラ活動 福西 浩(東北大学名誉教授)  オーロラは、地上約100kmよりも高い宇宙空間と呼ばれる領域で希薄な大気が輝く現象です。地上付近の大気圧は1気圧ですが、高度が高くなるにつれて大気圧は急激に下がり、高度100kmでは地上の300 万分の1まで下がります。このような希薄な大気では大気中の酸素分子(O2)や窒素分子(N2)は太陽紫外線で酸素原子(O)や窒素原子(N)に分

ESD副読本・学習プログラム「南極・北極から地球の未来を考える」のご紹介

 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」(図1)は、2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17の目標です。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓っています。我が国でも経済界や地域社会などすべての分野でSDGsへの取り組みが始まっています。SDGs達成のためにはそれを担う人材の育成が緊急の課題となっており、文部科学省は新規事業として2019年度か

2021年版南極カレンダーのご案内

 南極観測事業から得られた成果を広く社会に普及啓発するための事業の一環として、毎年「南極カレンダー」を作成し、販売しています。南極探検・観測の長い歴史の中の特筆すべき出来事が、その起こった月日に記載されており、また各月の写真についての解説も最後のページにあり、カレンダーを見ながら南極について楽しく学ぶことができます。 2021年版は、各月の写真に第60次および第61次南極地域観測隊の隊員が撮影した

ジュニア会員制度のお知らせ

日本極地研究振興会
令和2年度から新しくジュニア会員制度がスタートしました。地球上で最も原生的な自然が残る南極と北極は、探検時代を経て、現在は国際協力による大規模な調査・観測・研究が進められており、極地の生物圏、大気圏、雪氷圏、水圏、地圏、宇宙圏の解明が急速に進展しています。また南極・北極域では海氷や氷床の融解によって温暖化が他の地域よりも2~3倍の速度で進行しており、地球環境の未来像を考える上で重要な役割を担うこと

理事長交代のお知らせ

(公財)日本極地研究振興会では、令和2年7月2日付で 吉田榮夫 が理事長を辞任し顧問に就任し、同日付で、福西 浩(前常務理事)が新理事長に就任しましたのでお知らせします。 今後とも、財団一同業務に全力を尽くす所存でございますので、引き続きご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げます。 辞任しました前理事長の吉田榮夫のご挨拶と新しく理事長に就任いたしました福西浩のご挨拶、および令和2年度の役員等名

セール・ロンダーネ山地 地質調査チーム 写真日記

赤田幸久(第61次南極地域観測隊 夏隊 野外観測支援) セール・ロンダーネ山地(以下「セルロン」と省略)・・・ 何度訪れても本当に素晴らしい場所です。 地学の研究者の方々にとっても、地球上で数少ない貴重な調査エリアとのことです。 この地では、26次隊で「あすか基地」が開設されてから32次隊まで、様々な観測・設営活動が行われてきました(28次~32次隊は越冬)。大量の積雪などにより「あすか基地」は1

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第22回

内陸の前進拠点・みずほ基地 (その2、15次隊から20次隊までの活動)石沢 賢二 (元国立極地研究所技術職員) 非常時の頼りは雪上車  前回は、15次隊の越冬終了間際に、発電機エンジン周辺で火災が発生したことに触れました。みずほ基地は、昭和基地から約300kmも離れた内陸にあり、冬期に大きな事故が起きたら大変ことになります。最も怖いのが火災です。基地が使えなくなった時の逃げ場は、11次隊が建設した

昭和基地での建設作業風景:2018年12月~2019年12月

小山 悟(株式会社ミサワホーム総合研究所 南極研究プロジェクト、第60次南極地域観測隊越冬隊 建築・土木担当) 南極観測隊の活動拠点となる昭和基地は、60年以上にわたる大切な観測の継続のために、様々な設営作業によって整備が進められてきました。観測のための建物やアンテナ設備等の建設は勿論ですが、生活基盤として必要な発電機・給水装置・汚水処理施設・焼却炉等の整備、それらが収まる建物や居住施設も建設・改

北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)の開始

榎本浩之(国立極地研究所 教授) 1.北極研究の最近10年の動き  2020年6月1日より北極域研究加速プロジェクト(Arctic Challenge for Sustainability Project II:ArCS II)が開始した。日本の北極研究は2011年以降、大きな動きとなって実施されてきている。この活動をさらに加速すべくArCS IIが開始することとなった。2011-2015年には、

アラスカから届ける、太陽活動停滞期のオーロラ

八重樫あゆみ(写真家・ツアーガイド)  2020年7月。夏の季節も半分過ぎ去ろうとしている。そして、あとひと月半ほどでオーロラの季節がやってくる。近年、太陽黒点数は2014年頃を境に徐々に減少し、現在は太陽黒点の現れない日が年間に70%以上を占めるような太陽活動停滞期に突入している。オーロラの活動度は太陽活動に比例し、黒点数が多ければ多いほど太陽フレアやCME(コロナ質量放出)が発生しやすく、オー

北極大学の取り組み

吉川謙二(アラスカ大学フェアバンックス校・教授) 北極大学(University of the Arctic)とは、実際に校舎が存在しない架空の大学で、アラスカ大学をはじめオタワ大学、オスロ大学、ストックホルム大学、ロシア連邦大学など北極地域の大学や研究機関が協力しあってネットワークを作っている組織である。主に各大学間で単位をシェアして学生を行き来させて、教育や研究活動を交流する場となっている。北

理事長就任のご挨拶

 このたび、理事長に就任いたしました福西浩です。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。 日本極地研究振興会は、1964年の創立以来、半世紀を超えて南極・北極地域での研究・教育活動を支援し、それらの活動から得られる成果を社会に普及啓発し、青少年教育に役立てるための様々な取り組みを行ってきました。2013年4月の公益財団法人への移行を機に、その事業内容を大幅に拡充し、新たにフルカラー印刷の南極と北極の総