第62次南極観測隊長のミニレポート③「第61次、第62次隊の越冬交代式」

 

 橋田 元

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橋田隊長プロフィール

今回は第弾!
「第61次、第62次隊の越冬交代式」

【 記事・写真提供:国立極地研究所(@kyokuchiken)】

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2021年1月5日 ~迷子石~

寡聞にして命名の経緯は承知していないが、自分の意志でもとの場所から離れたのではないから、漂石のほうがしっくりする。いずれにせよ壮大な時間スケールを読み取れる言葉だ。

一方 glacial erratic は状態を的確に言い表している。実際に目の当たりにすると、一体誰が置いていったんだろう???としか言いようがない。

2021年1月8日 ~南極の匂いとは?~

印象の順番として、一番目は食事前の厨房、二番目は軽油や航空燃料、焼却炉や汚水処理装置など物や設備だろうか。いずれも生きている様そのものだ。

七草は過ぎたけれど野草の香りが懐かしい。

2021年1月8日 ~夏の東オングル島の雪解け⛄ ~

好天に恵まれた夏の東オングル島周辺では、日に日に、時々刻々と雪氷が融けてゆく。

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2021年1月18日 ~握手をかわして、 越冬交代 ✋ ~

第61次越冬隊、第62次越冬隊、それぞれの越冬隊長が隊員名を呼び、双方握手を交わしながら整列する場所を入れ換えて、越冬交代が完了する。

当事者ではない立場での参加は初めて。厳粛ななかにも両越冬隊員の気持ちが満ち溢れて、圧倒された。

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61次越冬隊の氏名読み上げ
互いに握手を交わす
入れ替わり完了
両隊揃い踏み

2021年1月18日 ~ 61・62次両隊としらせの総力戦! ~

燃料パイプ輸送、氷上輸送、空輸、ヘリコプターによる野外調査、基地作業、引継ぎなどを、しらせが往復路でどこにも寄港しない条件の下では約1ヶ月間で終える計画。

61・62次両隊としらせの総力で乗り切った。

深夜、太陽は地平線の氷山や島影を横切る。

遠くに見えるのは「ラングホブデ」

2021年1月18日 ~苦楽を共にした仲間との別れ。お元気で!~

今夏最後のヘリコプターフライトが行われ、昭和基地に残っていた61次越冬隊員と62次夏隊員は、全員「しらせ」に帰還した。

第62次隊発足から苦楽を共にした越冬隊員が遠くから見送るなか、「しらせ」は昭和基地沖を離れ、日本への帰途に就いた。ご安全に、お元気で!


執筆者紹介

橋田 元

南極観測センター副センター長(観測担当)、国際・研究企画室副室長、COMNAP(南極観測実施責任者評議会)副議長

第62次南極地域観測隊では隊長(兼夏隊長)をつとめた。