シリーズ「南極観測隊員が語る」

シリーズ「南極観測隊員が語る」第10回

紅は黄茅白葦に在っても隠れなし 山田 恭平(第59次南極地域観測隊越冬隊員)  筋力はないし、持久力もない。頭が回るわけでもないし、人付き合いが良いわけではない。最後がいちばん苦手だ。それでも南極観測隊員だ。  そんな淀んだ胸懐で、暗く冷たく不安定な南極で過ごすためには、心を繋ぎ止めるものが要る。舫が要る。灯台が要る。特に旅に出るとなれば、戻るために繫ぎ止める存在が必要だ。 写真1:内陸旅行中の薄

シリーズ「南極観測隊員が語る」第9回

南極越冬隊員の一番の楽しみは食事 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊調理担当隊員 北島隆児 三原光司 北島隆児隊員(昭和基地にて) 三原光司隊員(昭和基地にて) 南極観測隊員に応募したきっかけ 福西 本日は南極への出発準備でお忙しい中、インタビュー時間を作ってくださりありがとうございます。第59次南極地域観測隊の越冬隊で調理を担当されるお二人ですが、最初に南極観測隊員に応募することになっ

シリーズ「南極観測隊員が語る」第8回

オーロラの新たな謎に挑む 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊一般研究担当隊員 内田ヘルベルト陽仁 情報処理棟屋上で高速カメラの絞りの調整(昭和基地にて) 南極に行くきっかけ 福西 まず、南極に行くことになったきっかけをお聞かせください。 内田 最初のきっかけは国立極地研究所の片岡龍峰先生とお話しする機会があったことです。私は2015年の日本地球惑星科学連合の大会で研究発表したのですが、そ

シリーズ「南極観測隊員が語る」第7回

隊員たちに喜ばれる料理を作りたい 第58次南極地域観測隊 越冬隊員 調理担当 青堀 力  内村 光尚 青堀 力さん 内村 光尚さん インタビューは2016年10月27日に国立極地研究所(東京都立川市)の南極観測センターで行いました。 インタビュアー:福西 浩 福西 本日は第58次南極観測隊で調理を担当される青堀さんと内村さんに、南極を目差す動機などいろいろとお伺いしたいと思います。内村さんは今回が

シリーズ「南極観測隊員が語る」第5回

第58次南極地域観測隊 越冬隊員 一般研究観測担当 鈴木 裕子 インタビュアー:福西 浩 インタビューは2016年10月25日に国立極地研究所(東京都立川市)の南極観測センターで行いました。 福西 最初に子供時代のことが知りたいのですが、出身はどこですか。 鈴木 新潟県出身で、現在は新潟市に編入されているのですが、昔は西蒲原郡と呼ばれていた所です。小学校は木山小学校という、ちっちゃな、全学年1クラ

シリーズ「南極観測隊員が語る」第6回

第58次南極地域観測隊 越冬隊員 環境保全担当 葛西 尚 インタビュアー:福西 浩 インタビューは2016年10月25日に国立極地研究所(東京都立川市)の南極観測センターで行いました。 福西 今回、南極観測隊に応募されるきっかけは何だったですか。 葛西 応募するきっかけは、インターネットでいろいろなホームページを見ていた時、たまたま自分と同じ消防職員で南極に行った方のホームページにヒットしました。

シリーズ「南極観測隊員が語る」第4回

第58次南極地域観測隊 越冬隊員 医療担当 大江 洋文  服部 素子 パキスタンカラコルムのバツーラ氷河で 米国ジョシュア・ツリー国立公園で インタビュアー:福西 浩 インタビューは2016年10月27日に国立極地研究所(東京都立川市)の南極観測センターで行いました。 福西 最初に、子供時代は何に興味があったのか、また、南極のことを考えたことがあったのか、その辺のことをお話しください。 大江 私は

シリーズ「南極観測隊員が語る」第3回

第58次南極地域観測隊 越冬隊員 野外観測支援担当 土屋 達郎 インタビュアー:福西 浩 インタビューは昨年11月25日に、日本極地研究振興会の立川事務所で行いました。 福西 最初に、土屋さんの小中高時代を教えてください。 土屋 産まれた所は、東京の保谷市、当時はまだ市じゃなかったと思うんですが、ひばりが丘です。小学校は練馬の小学校で、両親の都合で転校して、東村山市の秋津小学校に通いました。中学校

シリーズ「南極観測隊員が語る」第1回

念願の南極昭和基地 第55次南極地域観測隊 水田 裕文 南極へ行ってみたい。そう思ったのは今から7年前の2008年。NECネッツエスアイ(入社当時はNECシステム建設)に入社後、システムエンジニアとしてキャリアを積んでいたが、社内公募に南極越冬隊の項目があったので素早く反応してしまった。よく、なぜ南極に?と聞かれることがあるが、理由は簡単、『行ってみたいから』。何があるか、どんなことが起こるかわか