シリーズ「極地からのメッセージ」

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シリーズ「極地からのメッセージ」 第7回

グリーンランド単独徒歩行 夢を追う男 阿部 雅龍 3年連続で北極に通っている。2016年も2月から6月、グリーンランドに行っていた。 グリーンランドの北端、北緯77度、北極点までわずか1,500kmほどにシオラパルクという村はある。ここにはグリーンランド西海岸を単独で歩くために来た。80日間で海氷上を1,200km歩く計画である。食料や燃料などを積んだ150kgのソリを引いて歩く。日本から空路で少

シリーズ「極地からのメッセージ」 第6回

北極で地球を、宇宙を見る~北極圏ノルウェーを訪れて② 朝日新聞社会部記者 中山 由美 トナカイ(トロムソ南方のHeiaで)  どこを見ても暗い。極夜まっただ中のノルウェーの北極圏を取材したのは今年1月だった。カメラを向けても夜景ばかり。「写真は?動画はどうしよう」……不安を抱えながら、スバールバル諸島スピッツベルゲン島を訪れた。ニーオルスン国際観測村やロングイヤービン(78°09′N, 16°03

シリーズ「極地からのメッセージ」第5回

地球最北の国際観測村、極夜絶賛開催中! ~北極圏ノルウェーを訪れて① 朝日新聞社会部記者 中山 由美 越冬の始まり ニーオルスンの空港で どこを見ても、何時になっても、真っ暗だ。北極圏スバールバル諸島のスピッツベルゲン島に入ったのは1月半ば、“北緯78度”を実感した。南緯69度の昭和基地では、真冬でも、正午には地平線に近づく太陽を感じられた。夜明け前の明るさがしばし戻る。だがロングイヤービンは「極

シリーズ「極地からのメッセージ」第4回

白瀬中尉の見果てぬ南極の夢を追って 夢を追う男 阿部 雅龍 浅草で人力車をひく(2015年11月) 大和雪原を踏んで南極点まで単独徒歩で到達する。その夢を抱いたのは、幼い頃からの白瀬中尉への憧憬があるからに違いありません。 白瀬中尉を初めて知ったのは僕が10歳の時。「未知の世界を開いた探検(金の星社)」という学習漫画からです。学校推薦図書の購入用紙が小学生達に配られていました。用紙に欲しい本を記入

シリーズ「極地からのメッセージ」第3回

北極点無補給単独徒歩に挑む 北極冒険家 荻田 泰永 1909年にアメリカの探検家ロバート・ピアリーが、歴史上の共通認識としての北極点人類初到達を果たしてから100年余。以来、人々は様々なかたちで北極点を目指してきた。100年前には難攻不落の地球の果てであった南北両極点も、航空機の発達とともに今では観光客が機内で居眠りをしている間に乗り入れることができる場所となった。しかし、そんな時代になった今でも

シリーズ「極地からのメッセージ」第2回

地球最北の犬ぞり猟に同行して 朝日新聞特別報道部記者 中山由美 果てしなく続く純白と青い空がまじわる彼方、「雪平線」そんな言葉が浮かぶ。さえぎるもの一つない氷床は南極大陸を思い出させる。北極・グリーンランド北西、10頭の犬にひかれて半月、約600キロを走った。「地球最北の村」シオラパルクに暮らす大島育雄さん(68)の犬ぞり猟に4月、同行した。 大島さんは1972年にこの地へ渡り、猟師として生きてき

グリーンランド極北域およびカナダ極北域における、観測拠点設営の提唱

ーシリーズ「極地からのメッセージ」第1回ー 犬ぞり北極探検家 山崎 哲秀 一笑せずに耳を傾けて頂きたい。「グリーンランド極北域およびカナダ極北域に、我が国における観測拠点を設営したい」 この目標が確固たるものになったのは、第46次南極地域観測隊に越冬隊員として参加させて頂いてからだった。日本の南極観測が、世界でもトップクラスの調査 として大体的に実施されているのをこの目でみて、その歴史と規模の大き