南極観測と朝日新聞その13 7次隊の帰途にあったこと、その2 元朝日新聞社会部記者 柴田鉄治 昭和基地の再建を100%成し遂げ、帰途に就いた最初の隊員たちへのご褒美は、アデリー・ペンギンのルッカリー(生息地)見学だった。その2は、昭和基地の東隣り、300キロほど離れたところにあるソ連のマラジョージナヤ基地への訪問だった。 外洋に出た観測船「ふじ」がソ連基地の沖合に近づいたところで、「訪問したい
株式会社大原鉄工所~南極地域観測隊の雪上車を担う~ 第59次南極地域観測隊 越冬隊員 小島裕章 インタビュー 昭和基地で再会した大原鉄工所の小島裕章隊員(左:59次隊)と中西勇太隊員(右:58次隊) 大原鉄工所は国内唯一の雪上車メーカーとして南極地域観測隊が使用する内陸トラバース用の大型雪上車SM100Sや昭和基地周辺で使用する小型の雪上車を製造してきました。またそれらの雪上車を南極で運用するた
南極観測を支える海上輸送 その1 南極・北極で活躍した耐氷船 前国立極地研究所極地工学研究グループ 石沢 賢二 1.はじめに 南極観測を行うのに欠かせないのは、何といっても輸送です。観測の成否は輸送に掛かっているといっても過言ではありません。このシリーズではこれまで、雪上車・トラクター・橇による陸上輸送と飛行機・ヘリコプターによる航空輸送について記述してきましたが、海上輸送については触れていませ
NECネッツエスアイ株式会社~多目的衛星受信アンテナシステムを守る~ 第59次南極地域観測隊 越冬隊員 大石 孟 インタビュー 南極の西オングル島にて 今から30年前、直径11メートルの大型パラボラアンテナを持つ多目的衛星データ受信システムを昭和基地に建設するプロジェクトが認められ、日本電気株式会社(NEC)がこのシステムを開発し、1989年1月に昭和基地に設置されました。それ以来、NECグルー
南極観測と朝日新聞その12 7次隊の帰途にあったこと、その1 元朝日新聞社会部記者 柴田鉄治 私が初めて南極観測に参加した第7次隊は、4年ぶりに基地を再建し、極点旅行用の雪上車も荷揚げできて、100点満点の出来だった。それに対する隊長や艦長からの「ご褒美」というわけではないだろうが、任務を終えて帰途に就いたときに付録のような部分があった。私は、その付録みたいな部分にひときわ感動したので、3回に分
内陸氷床上基地の高床式建物とその維持 -その2 2000年以降の新しい考え方- 国立極地研究所極地工学研究グループ 石沢 賢二 1.はじめに 前回は、氷床上に建設した建物とスノードリフトとの壮絶な闘いについて説明しました。今回は、2000年以降に建てられた高床式建物について詳しく説明します。その一部は、このシリーズの第5回「雪の吹き溜まりから建物を守る」でも紹介しました。建物を雪面上部に維持する
いすゞ自動車株式会社~昭和基地の車両をメンテナンスする~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 関根 和昭 昭和基地のいすゞエルフトラック(第59次越冬隊・関根隊員提供) いすゞ自動車は、1956年の第1南極観測隊から今日まで、60余年にわたって南極・昭和基地に毎年隊員を派遣し、昭和基地で使われている様々な車両とディーゼルエンジンのメンテナンスを担ってきました。南極という厳しい自然環境の
株式会社日立製作所~昭和基地の生活インフラを担う~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 船木 覚 オーロラと昭和基地(第59次越冬隊・船木隊員撮影) 日立製作所は南極観測事業に大きな貢献をしてきました。2009年に就役した南極観測船・砕氷艦しらせは世界トップクラスの砕氷能力をもち、30,000馬力のディーゼル電気推進システムで氷厚1.5メートルまで連続砕氷航行が可能ですが、日立製作所は
ヤンマー株式会社~昭和基地の電力を守るディーゼル発電機~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 尼嵜 慶次 昭和基地でディーゼル発電機を点検する尼嵜隊員(2018年3月) ヤンマー株式会社は、エネルギー有効活用の先駆者として、ディーゼルエンジン、建設機械、農業機械、空調、発電システム等の分野で社会に貢献しています。このエネルギー有効活用技術を生かしたヤンマー製ディーゼル発電機が1984年
株式会社関電工~昭和基地の電力設備を担う~ 第59次南極地域観測隊員インタビュー 越冬隊員 内山 宣昭 夏隊員 松嶋 望 オーロラが舞う昭和基地(関電工から第57次南極越冬隊に派遣された岡本龍也隊員撮影) 電気工事や情報通信工事の分野で日本を代表する企業である関電工は、1986年の第28次南極観測隊から延べ32回、社員を南極観測隊に派遣し、昭和基地の電力設備の整備とメンテナンスを担ってきました。第