南極

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シリーズ「南極観測隊エピソード」第16回

南極観測と朝日新聞その16 アムンセン・スコット基地で極点旅行隊を出迎える  柴田鉄治(元朝日新聞社会部記者)   第9次越冬隊の村山雅美隊長ら11人の「極点旅行隊」に、朝日新聞の高木八太郎記者は村山隊長の意向で同行できなくなったが、南極点で私が旅行隊を出迎えるという計画のほうは、順調に進んでいた。  米国の駐日大使館に「極点旅行隊の南極点到達を報道するため、朝日新聞社の柴田鉄

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第17回

南極観測を支える海上輸送 その4 初代「しらせ」の運航  石沢 賢二(国立極地研究所極地工学研究グループ)  1.「ふじ」後継船の計画  「ふじ」は、第7次隊から24次隊まで、合計18回の南極行動を実施しました。初期の7次から11次行動までは5回連続して昭和基地に接岸することができました。ところがその後、厳しい海氷に遭遇し、第19次隊まで接岸できず、すべての物資と人員の輸送は、

シリーズ「南極・北極研究の最前線」第13回

新発見―オーロラ爆発でバン・アレン帯電子が高度65kmまで流入  片岡龍峰(国立極地研究所 准教授)  オーロラ爆発の際に、メガ電子ボルトの電子が地球に降り注ぎ、上空65 km付近というオーロラよりも低い高度の大気を電離させていることが、南極昭和基地のPANSYレーダーなどを用いた研究により明らかになりました。昭和基地を取り囲む1000km四方で同様のことが起こっていると仮定すれば30万キロワット

32年前の「南極あすか新聞」をデジタル化復刻版で出版

高木 知敬(市立稚内病院地域連携サポートセンター長) はじめに すでに30年以上もむかしのことだ。1987年2月、南極昭和基地から670㎞離れたセールロンダーネ山地の北麓に日本第3の基地が完成した。その名を「あすか」という。そこは大陸雪原上の標高930mにあり、山岳景観の優れた基地であったが、一方では夏季以外はほとんど毎日地吹雪をともなった強風が吹きまくる「嵐の大地」でもあった。 第26次南極観測

シリーズ「南極にチャレンジする女性たち」第8回

南極地域観測隊で初の夏隊長を務める 原田 尚美(第60次南極地域観測隊 副隊長兼夏隊長) インタビューは2018年11月19日に、東京都立川市の国立極地研究所で行いました。 インタビュアー:福西 浩 夏隊長の仕事 福西:第1次南極地域観測隊を乗せた南極観測船「宗谷」が日本を出港したのは1956年11月のことで、それから62年が経ちました。途中、第6次隊から第7次隊の間に3年間の中断があったために今

シリーズ「南極観測隊エピソード」第15回

南極観測と朝日新聞その15 8次夏隊と9次越冬隊のこと 柴田 鉄治(元朝日新聞社会部記者) 私が同行した第7次観測隊の隊長だった村山雅美氏は、『ミスター南極観測』とも呼ばれていた人だ。日本でも有数な山男で、日本山岳会のマナスル登山隊に参加して登頂し、帰国してすぐ第1次南極観測隊に合流した人だ。 本番の第2次越冬隊長に決まっていたのだが、不運の2次隊は観測船「宗谷」が氷にとざれて昭和基地に近づけず、

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第16回

南極観測を支える海上輸送 その3 日本の南極観測船 石沢 賢二(国立極地研究所極地工学研究グループ) 1.国際地球観測年(IGY) 世界各国が国家事業として南極観測に力を入れだしたのは、国際地球観測年(International Geophysical Year)という、国際科学研究プロジェクトが契機でした。このプロジェクトは、1957年7月1日から1958年12月31日までの期間中に、オーロラ、

シリーズ「南極にチャレンジする女性たち」第7回

南極での経験を中高生の理科教育に活用 東野 智瑞子(第59次南極地域観測隊 越冬隊員) 45歳の誕生日に-20℃の中、着物で記念撮影 インタビューは2017年10月19日に、東京都立川市の国立極地研究所で行いました。写真は、2019年1月に昭和基地の東野隊員からメールで送られてきたものです。 越冬隊員を目指した動機 福西:本日は南極への出発準備でお忙しい中、インタビュー時間を作ってくださりありがと

シリーズ「南極観測隊エピソード」第14回

南極観測と朝日新聞その14 7次隊の帰途にあったこと、その3 元朝日新聞社会部記者 柴田鉄治  第7次観測隊が昭和基地の再建を立派に成し遂げ、帰途に就いたとき、ペンギン・ルッカリー(生息地)を見学したことを「その1」とし、ソ連のマラジョウジナヤ基地と「オビ号」を見学したことを「その2」として前号までにその概要を記した。 実は、もう一つ、その3があったのだ。ソ連基地と「オビ号」を訪れて気をよくした私

シリーズ「南極観測隊の生活を支える技術」第15回

南極観測を支える海上輸送 その2 英雄時代以降の南極探検船 国立極地研究所極地工学研究グループ 石沢 賢二 1.ウェッデル海でのドイツの活動 1.1 フィルヒナー隊の苦闘  前回は、英国のシャックルトンが率いた「エンジュランス」号がウェッデル海で氷に閉じ込められ沈没した話を書きましたが、それに先立つ1911~1912年(明治44~45年)にも同じウェッデル海で閉じ込められた船がありました。ドイツの

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